Microsoft Trackball Explorer

分解、支持球・USBケーブルの交換などを行います。

分解作業 その1

Trackball Explorer

安価に購入できたジャンク品のMicrosoft Trackball Explorerです。

今回扱うTBEは初期型で後期型とは作りが違うようです。背面のネジの位置がこのTBEと同じなら初期型、そうでないなら後期型です。


背面のネジ位置

背面のネジは5ヶ所あります。場所によってネジの長さが異なります。

両面テープで付けてあるゴム足を剥がすと、2つずつネジが出てきます。

ゴム足は粘着テープがゴム側に一緒に付くようにゆっくり慎重に剥がします。粘着部分には埃が付かないように保管しておきましょう。


ネジの長さ比較

TBEで使われているネジは以下の3つです。

短いネジが約8mm
真ん中が約9mm
長いネジが約11mm

(ねじ山の部分も含む。普通の定規で測定)


プラスドライバー

ドライバは長めの物を使うと作業がしやすいです。

先端のサイズが合わないドライバを使うとねじ山がつぶれるので、手持ちのドライバが合わなければ別の物を用意しましょう。


筐体を開く途中

ネジを外すと筐体が開けます。

しかし、筐体の上下部分をつなぐケーブルがあるので、そのまま開かないように気をつけます。


マイナスの精密ドライバ

ケーブルの端子はマイナスの精密ドライバで外します。


筐体をつなぐケーブルを外す その1

精密ドライバを端子の爪に割り込ませてケーブルを軽く引っ張って外します。基板側の端子を精密ドライバで手前に押しつつ爪を避ける感じです。

精密ドライバを差し込んだ側のケーブルを揺らしながら引っ張って画像のように少し外れたら反対側も同じようにして外します。片側だけ外しても、もう片方の爪がかかるので両方外す必要があります。


筐体をつなぐケーブルを外す その2

もう一つケーブルがつながっているので同じ要領で外します。

USBケーブルの交換

筐体下部分

筐体下部分です。これからUSBケーブルの交換を行います。

ケーブル交換はTBEが認識しないときや接続が不意に切れるとき、カーソル速度が不自然に落ちるときなどに有効です。

ケーブルの修復に半田を使う方法もありますが、交換の方が安全で簡単なのでこちらがお勧めです。

ただしUSBの配線を間違えると即壊れるので慎重に行います。


USBケーブルの端子

USBケーブルの端子です。

画像向かって右から
赤:+5V
白:DATAー
緑:DATA+
黒:GND
黒いチューブ:シールド

規格でUSBケーブルの内部の線は同じ色分けがされているそうです。


USBケーブルの取り外し

精密ドライバを差し込んで端子を外します。


交換用のUSBケーブル

交換用のUSBケーブルを用意します。

TBOのケーブル交換>を参考にどうぞ。


Microsoftマウスとの比較

左側はMicrosoft製の何かのマウスから取り外した物です。

右側のTBEの端子と同じ色の並びになっています。これならそのまま交換が可能です。

Microsoft製だから同じというわけではないので確認は必ずしましょう。


Logitechマウスとの比較

左側はLogitecのFirstMouseから取り外した物です。

TBEの端子とは色の並びが異なります。このままでは使えません。


精密ドライバを使い配線を変更

端子の爪に精密ドライバを差し込めば容易にケーブルを外す事ができます。外したらTBEと同じ並びになるように差しなおします。

差し直す前に端子の爪を精密ドライバで軽く押しておくと、ケーブルを差したときにしっかり噛んでくれます。


配線変更後

このように並び替えれば交換用として使えます。


USBケーブルを引き回す位置

筐体にケーブルの通る道が描かれているので、それに合わせてケーブルを取り付けます。


USBケーブルの取り付け

この通り取り付ければ交換完了です。

元のケーブルと違い折り目ができてないので、手で軽く折り目を付けつつ取り付けます。

スイッチのメンテナンス その1

4,5ボタンのタクトスイッチ

筐体の下側に付いてるタクトスイッチです。ボール右側の4,5ボタンにあたります。

上の押さえている爪を外せば基板を取り外せます。

スイッチ内部の金属接点を洗浄してチャタリングの改善、予防を行います。これでダメな場合はスイッチの交換が必要です。


接点洗浄剤

サンハヤトの接点洗浄剤 RC-S201です。電子部品を扱ってる店や通販などで購入できます。

プラスチックを浸食しないタイプです。これでタクトスイッチ内部の接点を洗います。主成分はアルコール類で飛び散っても簡単に拭き取れます。


洗浄剤を吹きかける

ノズルの先端でスイッチを押して隙間を作り、その隙間から洗浄剤を流し込みます。そのあとスイッチを何度か押して馴染ませます。

スイッチに跳ね返った液が目に入らないように気をつけてください。


基板の取り付け

フラットケーブルを出っ張りの隙間に納め、基板を元の位置に取り付けます。

分解作業 その2

筐体上部分

筐体の上部分です。

これからボール受けを取り外します。


一部砕けたボール受け

ボール受けの一部分が砕けています。ネジをしめすぎたのか何か衝撃を与えたのか分かりませんが、取り扱いは気をつけた方が良さそうです。


センサー基板の取り外し

まず外すネジはセンサーのそばにある丸で囲った2ヶ所です。ここのネジは両方とも短い物です。


ボール受けの取り外し

センサーの基板をどかすとネジが一つ出てきます。ここのネジは真ん中のサイズです。これを外すとボール受けが取り外せます。


ボール受け

ボール受けが取り外せました。


崩れたボール受けの部品

砕けていた部分はこのように崩れ落ちました。

支持球の交換

削れた支持球

支持球の拡大画像です。

球だった表面が平らになりフラットスポットになっています。球が平面になりボールとの接触面が増えるとボール操作が重くなります。改善するために支持球を交換する事にします。

支持球の後ろから穴を開けボールを押し出して取り外す方法で交換を行ってみます。


0.8mmハンドドリル

0.8mmハンドドリルです。100均ショップで扱っているところもあります。これで支持球の裏面から穴を開けます。


セラミックボール

交換に使える2mmのセラミックボールです。

この通販ショップ>から注文ができます。(09年4月現在)

小さいので無くしやすく、安価に提供されているので、多少余裕を持たせてまとまった数を注文した方がよいでしょう。


作業の順番

この数字の順番で作業をしてみます。


一つ目の穴開け位置選定

<1>

まずは一つ目。この辺に穴を開けます。

何度も表と見比べて位置を決めてください。


一つ目穴開け中

ドリルをこんな具合に差し込みます。


一つ目穴開け完了

貫通するとこうなります。

プラスチックを貫通したあと、支持球を押し出す時は慎重に作業します。支持球とその周辺の枠が一緒に外れる事があります。


穴開け後

こんな具合に穴が開きます。


二つ目の穴開け位置選定

<2>

二つ目はこの辺に行きます。


二つ目穴開け中

こんな感じで差し込みます。


二つ目穴開け後

貫通するとこんな感じになります。


三つ目の穴開け位置選定

<3>

最後はこの辺に穴を開けます。


三つ目穴開け中

ここを突っつきます。


三つ目穴開け後

貫通しました。


ゴミ取り

支持球を固定する穴の中に作業時に出たプラスチックの削りかすが残っていたら掻き出しておきます。

力を入れすぎると支持球周辺が砕けそうなので慎重にやりましょう。


セラミックボールの取り付け

セラミックボールをセットします。


ボールの転がりの確認

ボールをセットして実際に転がしてみます。ボール操作が特に重くなければ完了です。

妙に重い動作になるときはゴミを掻き出して支持球を付けなおします。

支持球の補強

支持球の支え部分

今回のジャンクTBEは支持球のそばの円柱の土台が欠けてしまっています。

そのため逆さまにしたときにボールだけじゃなく支持球も落ちる事があります。このままだと支持球を紛失しそうなので、ホットボンドで支持球を固定する事にします。

欠けっぷりは<支持球の交換>の最初の画像の方がわかりやすいです。


ホットボンド

ホットボンドです。グルーガンとも言います。ホームセンターなどで購入できます。熱で棒状の固形ボンドを溶かして接着します。半田ごてほど熱くならないので扱いやすいですが熱くなる先端をプラスチックに当てたままにすると溶けます。

固形ボンドを上にセットしてトリガーを引くと、先端から溶けたボンドが出てきて冷めたら固まります。


ホットボンドを付ける

ホットボンドが暖まるまで待ち、支持球の周囲へちょんと一瞬付けてすぐに離します。

失敗したらボンドを剥がして再度行います。


付けた後の処理

ホットボンドを付けて固まる前に指で押しつけて、支持球の高さよりも低くなるようにしたところうまくいきました。

支持球が取れず、ボールをセットして普通に動けば成功です。ホットボンドの量が多く支持球の高さよりも高くなってしまうと動作が非常に重くなってしまいます。

分解作業 その3

ホイール周辺の取り外し

黄丸の部分のネジを外すとスイッチがある部分が外せます。ここのネジは真ん中のサイズです。

赤丸部分に左クリックの戻りに使うバネがあるので、この部品を外すときに無くさないよう気をつけてください。


左クリックのバネ

バネはこのように収まっています。簡単に外れます。


ホイール周りの部品

ホイールのある部分が外せました。


ホイールの取り外し

ホイールは摘んで引っ張れば簡単に取れます。

赤丸のスイッチの空きパターンは上の青丸スイッチと配線がつながっているためボタンを増設しても上のボタンと同じ動作になりそうです。

スイッチのメンテナンス その2

マイクロスイッチへ洗浄剤を吹きかける

ここでも接点洗浄剤を吹きかけチャタリングの予防をしておきます。

マイクロスイッチに吹き付けるときもボタンを押した状態で液が隙間から流れ込むように行います。

タクトスイッチは4,5ボタンと同じようにやります。

ホイールのメンテナンス

ホイール用センサーの掃除

綿棒でホイールのセンサーを拭きます。

センサーの間に埃などが入っていたり汚れているとホイール動作が正常にできない事があります。

この作業はクリック時にホイールが連動して動く不具合には効きません。


ホイールの掃除

ホイールを水洗いし、ギザギザ部分の溝は歯ブラシで汚れを落とします。なるべく毛先が細い物の方が良さそうです。


厚紙

レトルト食品のパッケージから切り出した厚紙です。


ホイールの堅さの調整

丸で囲った部分に厚紙を挟むとホイールの1ノッチの重さが調整できます。

紙が厚ければ厚いほど重く、逆に何も入れずに紐などで外側に引っ張ると軽くなります。

画像の厚さだと重すぎて非常に操作しづらいです。

組み立て作業

組み立て開始

作業が終わったら組み立てます。まずはホイール周辺の部品と筐体上部分を取り付けます。


ホイール周りの取り付け

丸で囲んだ部分のかみ合わせを合わせてからネジを締めます。

このとき後ろから軽く押さえながらボタンがスムーズに押せるかどうかチェックします。


ボール受けと筐体上部分

お次はボール受けと筐体上部分の取り付けです。


ボール受けの取り付け

画像では既に砕けてますが、丸で囲った部分でネジが通るかどうかチェックします。問題なければ中央のネジを締めます。

ずれていると筐体裏左上のネジが締めにくくなるかもしれません。


センサー基板の取り付け

丸で囲った出っ張りに基板を収めてからネジを締めます。


筐体の上と下部分

筐体上と下の部分を取り付けます。


二本のケーブルの接続

ケーブル2本つないでから蓋を閉め、背面のネジを締めます。

ゴム足を付ける前に親指で操作するボタンを押して正常に押せるか確認します。このTBEではネジが一ヶ所破損しているせいか、4ヶ所をしっかりネジ止めすると左クリックが常時押される状態になってしまいました。ネジを若干緩く締める事でクリックは押せるようになりました。

動作確認が取れたらゴム足を付けて組み立て完了です。

コンパウンドでボール磨き

コンパウンド

プラスチック用のコンパウンドです。ホームセンターなどで販売されています。

ボールの素材が何者かは分かりませんが、これで磨くとボール表面の細かいすり傷が取れます。へこみのような大きい傷に効果はありません。


Before

ボールを取り出します。


コンパウンドを塗ったところ

コンパウンドをつけてティッシュや布で磨きます。

どこを磨いたか分からなくなるので1ヶ所コンパウンドをつけたままにして、そこを目印に周囲を磨いて行くと全体を磨く事ができると思います。


After

30分程度磨き、残ったコンパウンドをよく拭き取りました。細かな傷が消えて表面がつやつやぴかぴかになりました。

このままだとボールの滑りがかなり悪いので次の項目でコーティングを行います。


左:Before、右:After

画像を比べると光源を反射している部分が左側の磨く前は細かな傷で周囲に散っていて磨いたあとは綺麗な円になっています。

支持球が削れたまま使い続けると操作が重くなるだけじゃなく、元は点で接触していたのが面になって接触面積が増えてしまいボールに付く傷の量がより増えそうです。そういった状態で使い続けたボールは磨いた方がよいでしょう。

支持球交換に後述のフッ素コートと併せて行うと素晴らしい使い心地になります。

ボールのコーティング

ボナンザPro

フッ素コーティングのボナンザスプレーです。釣具屋やネット通販で購入できます。


ボナンザの吹きつけ

缶をよく振ってからボールに吹きかけます。手で全体に広げて乾く前にティッシュや布で拭き取ります。これでボールの滑りが良くなります。

滑りが悪くなったときに吹きかけるのを継続すると、そのうち支持球に付いたゴミを取るだけでもある程度滑る状態を維持してくれるようになると思います。

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