スイッチ交換が目標のハンダ練習
TBOのスイッチ交換ができることを目標に、ハンダ作業の流れを説明します。練習次第で交換ができるようになると思います。
ハンダ作業に必要な道具
ハンダごてです。画像はgootのTQ-95、15/90Wの切り替え式です。スイッチを押してる時だけ出力が上がるタイプの物です。
説明に20Wなどの表記がありますが高いワット数ほどコテ先の温度が高くなります。高出力の物のは高熱による周囲への影響が出やすく、今回の電子部品の付け外しには向きません。20W前後のハンダコテを調達するとよいでしょう。
ハンダごての台とスポンジのセットです。台は名前の通りハンダごてを置く台です。スポンジが一緒になっている物が便利です。ハンダごては危険なので台は用意した方がよいでしょう。
スポンジはこて先のクリーニングをするのに必要です。スポンジに水を含ませ、こて先で撫でる事で表面の酸化などを抑えます。付けるとジューーと水が蒸発していきますが、長くは付けずにジュッジュッと素早く各面を接触させて綺麗にします。この作業をしないと、こて先が酸化して黒ずんでハンダが溶けなくなってしまいます。なので定期的に行いましょう。
ハンダです。いくつか種類はありますが、適当な電子部品用の物でOKです。ハンダをケースから引っ張り出して使用します。短くなったらまた引っ張ります。
ハンダ吸い取り器です。バネの力で溶けている状態のハンダを吸い取る道具です。
吸い取り機の大きさによって吸い取る力が違うので、中型程度の物が欲しいところです。
一度ハンダを吸い取り、再度バネを押し込むと吸い込んだハンダが出てきますので捨てましょう。
左側がフラックス、右側がフラックス洗浄液です。
フラックスは塗った部分にハンダが乗りやすくなり、作業性が大幅に変わります。これがないとハンダ付けがかなり難しくなります。画像の物は無洗浄タイプです。
フラックス洗浄液はフラックスを使用してハンダ付けをしたあとに、残ったフラックスを除去する事ができます。今回は無洗浄タイプのフラックスを使うので必須ではありません。一応無洗浄タイプの物もこれで落とせるようです。
ハンダ練習の基板の準備
道具を揃えたので早速練習にはいる事にします。
今回の目的、スイッチ交換という作業はあまり難しくありません。しかしハンダの経験がない、少ない人には困難な作業になります。でも事前に練習をしっかりこなしておけば、きっとできるようになります。
まずは練習の実験台になるジャンクマウスを調達してきましょう。うまくできればついでに部品取りもできます。何度も練習をできるように複数台用意しておくといいかもしれません。
マウスを分解して基板を取り出しました。
古めのマウスは背面のネジ数個を外し(シールの下にある場合もあります)筐体を上に少し開き、左右のクリックボタンの下にある爪を手前に外せば簡単に分解することができます。練習なのでケーブルは取り外すか切るといいです。
基板の表の面とよく見比べて、マイクロスイッチの足の位置を調べます。この基板の場合画像の三つの赤丸部分の位置になります。
マイクロスイッチは画像のような、足が三本出ている形状になっています。
はんだ作業を行う前に基板を固定しておくと作業がやりやすくなります。
ハンダごての準備
ハンダごての準備を始めます。
まずハンダコテの電源ケーブルをつなげます。
スポンジに水を入れます。水があふれるぎりぎり程度まで入れてOKです。
こて先が熱くなるまでしばらく待ちます。
時折コテ先にハンダを乗せてみてください。ハンダが溶けなければ温度が足りない、溶けるならコテ先をハンダメッキしてスポンジで洗っておくと作業がはかどります。
ハンダの除去とスイッチの取り外し
準備が整ったらハンダを取り除く位置を決めます。
フラックスを塗ります。
多少他の所についても問題ありません。
フラックスを塗ったら、対象をコテ先で少し熱します。
少し熱したらそこにハンダを付けます。
ハンダが溶け始めたらすぐハンダを離します。コテ先はハンダをしっかり付けるために、気持ち遅いタイミングで離します。
既存のハンダに更にハンダが盛られました。
これは「追いハンダ」と言い、溶けやすい普通のハンダを溶けにくいハンダに混ぜる事によって元のハンダの融点が下がり溶けやすくなります。
この作業が不要なハンダもありますが、大抵はやっておいた方が作業が楽に進められます。
追いハンダを行ったらハンダの除去を始めます。
ハンダを溶かす前に、ハンダ吸い取り機のバネを押し込んで使える状態にしておきます。忘れるとハンダを溶かし直さないと行けません。
準備ができたらハンダを溶かします。
ハンダが溶けて液状になったら吸い取り器の先端をあててハンダを吸い取ります。
先端は割と熱に強いようなので、画像のようにコテ先にあてても大丈夫です。慌てずに吸い取り器の先端がちゃんとハンダを吸い取れる位置にあるか確認してから吸い取ります。
綺麗にハンダが取れれば成功です。
ハンダ吸い取り機の中に吸い取ったハンダくずが入っているので、ゴミ箱に先端を向けてバネを押し込んで出しておきます。
もし半端にハンダが残った場合、半端な量のハンダを溶かすのはなかなか難しいので、もう一度フラックスを塗ってハンダを盛り吸い取る作業をやり直します。
残りの二本足のハンダの除去も同様の手順で行います。
これでマイクロスイッチの取り外しが可能になりました。
基板を表に戻してマイクロスイッチを取り外します。わずかにハンダが残っているなら精密ドライバで持ち上げてもいいかもしれません。
しかし、まとまった量のハンダが残ってる状態で無理にスイッチを取り外すと基板やスイッチの破損の原因となりますので、取り外しの作業をやり直しましょう。
スイッチの取り付け
ハンダの取り付けを行います。
マイクロスイッチを逆に付けないようにシルク印刷を確認しておきましょう。
取り付けるスイッチを基板にはめ込みます。
スイッチをテープで固定します。
基板を裏返して、ハンダ付けをするところにフラックスを塗ります。
事前にハンダ付けをするところを、ほんの少し熱します。
ハンダ付けを行います。
ハンダをコテ先に付け、溶け始めたらハンダをすぐに離します。コテ先はすぐに離さずハンダが行き渡るのを見てから離します。
ハンダを離すタイミングが遅れると下の画像のように多めにハンダが付いてしまいます。
一カ所ハンダ付けが完了しました。
この画像のハンダの量はやや多く、悪い例です。
残りも同じ要領で取り付けます。
横から見た図です。
最初に取り付けたハンダの量が多く山のようになっています。