Trackball Opticalのボール操作の改善
使っていくうちに摩耗してしまうボールを支える3つの支持球の交換、ボールをコンパウンドで磨きコーティングなどの作業でボールの転がりを改善します。
支持球交換の準備
TBOのボールは3つの鉄製の支持球で支えられています。支持球とボール、球と球が点で接触して滑らかなボール操作が実現されます。
鉄製の支持球は使っていくうちに表面が削れていき、画像のようなボールとの接点に平面ができてしまいます。
こうなってしまうとボール操作が重くなり、その結果で無意識にボールを押しつけるような操作をしてしまい、ボールに傷が付きやすくなるようです。
TBOで使われている支持球の直径は2mmです。
この支持球は鉄製なだけあって磁石にくっついたり磁化したりします。濡らして放っておいたら錆びるかもしれません。
TBOの支持球と同じ大きさの2mmセラミックボールです。交換後、1年経過していますが削れる気配は無く耐久性抜群です。
09年7月現在、ネットショップkimihiko-yano.netで購入する事ができます。「G3 セラミックボール」で検索して出てくる中の2mmの物を購入してください。
1つ60円と安く、小さいので送料も安価です。安くて小さくなくしやすいので複数個購入しておくと良いでしょう。中の人は12個セットを購入しましたが、気がついたら残り7個に・・・。
0.8mmのハンドドリルです。
百均で購入しました。見つからない場合はホームセンターに行けば手にはいると思います。
このドリルで支持球の後ろの筐体に穴を開け、そこから突いて支持球を取り出します。
これからこの番号の順に支持球の取り外しをします。
支持球の取り出し1つめ
穴を開ける位置は黄丸の辺りの突起部分の根本から45度ぐらいの角度で斜めにいきます。
表と裏から支持球の位置を何度も確認しながら、位置と角度を合わせてください。穴を掘り始めたら一直線に進むので位置と角度が重要です。
もし途中で進行方向がずれてると感じたら、別の位置と角度から掘り進めた方がいいかもしれません。
別方向の画像です。角度の参考にどうぞ
支持球の取り出し2つめ
ネジを止める円柱の根本あたりから、若干角度を付けて差し込みます。
別方向の画像です。
支持球の取り出し3つめ
ここは垂直にドリルを立てて開けます。支持球までの距離がやや長いので狙いが外れないように気をつけてください。
別方向の画像です。
支持球交換の仕上げ
支持球が固定されていた部分には、裏から穴を開ける時に出たプラスチックの削りカスが残っています。
エアダスターで軽く吹き飛ばし、精密ドライバをくるくる回してゴミをかき出します。
支持球を支えている周辺の部品は非常に脆いです。ちょっとでも力が入ると破損してしまう可能性が高いので、慎重に作業をしてください。
掃除が終わったらセラミックボールをセットします。セラミックボールを上に乗せて指で軽く押すだけで固定されます。
この時セラミックボールを落として紛失しやすいので気をつけてください。
支持球を3つ取り付けたら、組み立てずにボールを入れて動作確認します。ここで動作が元の状態より重かったら、プラスチックくずで支持球が底上げされいるかもしれません。ゴミかきをやり直して取り付け直します。
問題がなければ筐体に組み込んで元に戻しましょう。これで支持球の交換は完了です。
ルビー支持球の入手
KensingtonのADB接続OrbitとMicrosoftのIntellimouseTrackballです。
両機種の支持球はルビー製で直径がTBOと同じ2mmの物を使っています。手持ちで使っていない物があれば流用してみるのもいいかもしれません。
両機種とも先が細い物で隅を突けば支持球を取る事ができます。
勢いよく飛び出す事があるので注意です。
異なる種類の支持球の比較
2mmの鉄球、セラミック、ルビー、白い支持球です。
これら異なる種類の支持球を取り付けてボール操作の比較をしてみます。
ボールを指ではじき、それをマイクで録音し、ボールが転がる時間を計ってみます。
どの支持球も1.5秒程度回り続けて大差無しとなりました。表面が削れない限り支持球による差はないようです。
フラットスポットができた鉄支持球で同様の操作をすると、約半分程度の時間になりました。それだけボールの操作に抵抗があり重くなります。
ボールがこすれる時の筐体削り
TBOのボールは3点の支持球で支えられていて、それ以外の面には接触しません。そのため普通に使っていると支持球付近にゴミがたまっていきます。
一部のTBOではボールが支持球だけでなく筐体にも接触してしまい、擦れている部分に画像の青丸部分のような汚れが付いてしまう個体があるようです。
支持球以外にボールが接触すると動作が重くなってしまうので、接触する場所を削って対応する事にします。
削る前に関係のない周辺の部分をテープで目隠しします。
目隠しをしたら紙ヤスリでひたすら削ります。粗めのヤスリで一気に削った方が手っ取り早くていいかもしれません。ここでは100番の紙ヤスリで削っています。
ヤスリがけが完了しました。削りかすを掃除してテープを剥がして組み立てます。
その後の通常操作で支持球以外にゴミが付着しなければ終了です。もしまた付くようなら同様の手順でヤスリをかけ直します。
ボールのコーティング
5-56でおなじみの呉工業製シリコンスプレーです。ホームセンターで298円で購入しました。
表面にシリコン皮膜を作り素材の滑りをよくします。5-56とは違い樹脂への浸食がありませんが、使用上の注意に人体に付着しないようにと注意書きがあるため、手で触れるボールへ使うのは危ないかもしれません。
使用は缶をよく振りボールにシュッと一吹きし、ティッシュで伸ばして拭き取ります。吹きかけた直後が最も滑る状態になり、次第に効果が薄まっていきますが、安価で大容量なので残量を気にせずに何度も使えます。
フッ素コーティングスプレーのボナンザスプレーPRO100です。新橋の上州屋で1890円で購入しました。釣り用品ですが釣具屋でもあまり見かけないので、店舗を探すより通販の方が楽そうです。
表面をフッ素コーティングする事で、滑り効果、傷や汚れが付きにくくなるそうです。釣った魚を入れるクーラーボックスへの使用もOKと人体への影響は問題なさそうです。
ボナンザを吹き付けてみます。缶をよく振りボールに一吹きすると泡状になって出てきます。それを指で広げてすぐにティッシュで拭き取ります。
これも使用直後が最も滑りますが、しばらくするとそれなりになります。その後何度か吹き付けていくと、ボールを少し拭く程度である程度の軽さを維持してくれるようになります。
コンパウンドを使ったボール磨き
現在手元にTBOのボールが4つありますが、1つだけボナンザを付けても全く効果がない物がありました。
そのボールの表面をよく見てみると細かな傷が無数に付いています。このボールは支持球が削れきった状態で無理して使っていた物でした。
この傷をコンパウンドで磨いて取ってみる事にします。
光陽社のプラスチック用コンパウンドです。ホームセンターで680円で購入しました。
金属用など他の用途の有機溶剤が含まれる物をボールに使うのは危なそうなので購入時にチェックしましょう。
中には歯磨き粉みたいなペーストが入っています。
ボールに塗りつけティッシュで磨いたところ表面につやが出てきました。細かな傷もちゃんと取れるようです。コンパウンドを一箇所付けたままにして、そこを目印に周囲を磨いていけば磨き残しを防げると思います。今回は30分程度磨いてみました。
コンパウンドをしっかり拭き取りTBOに取り付けてみましたが動作は重いままです。ボールを洗った直後で潤滑油的な物が無いのが原因なので、ボナンザを付けてみると滑らかにボールが動くようになりました。
コンパウンド磨き前後の大きさ
コンパウンドでボールを磨くと間違いなく表面が削れますが、実際どれくらい削れるのだろうと思いノギスを使って測定をしてみる事にしました。
磨く前の大きさは38.10mmでした。
磨き始めて20分後、測定値は変わりませんでした。
とりあえずよほど頑張らない限りは、コンパウンドで磨く時にボールが削れる事を気にしなくても大丈夫そうです。
そんなわけで凹みなど大きめな傷の場合、コンパウンドの効果は期待できません。
ボールの個体差
手持ちの4つのボールの測定をしてみました。
左上が05年頃購入の海外パッケージで38.10mm
右上が02年頃購入、この中唯一の黒TBOの物で38.05mm
左下が中古で購入の時期が不明の物で38.09mm
右下が中古で購入の時期が不明の物で38.05mm
微妙に大きさが違いますが操作感の違いは特に感じません。それよりも表面の傷の状態やコーティングの有無の方が操作に影響するようです。
TBOの筐体は初期の物が黒い色合いで、それ以降の物はグレーに変更されています。
画像左側のボールがグレーTBO、右側が黒TBOの物です。画像では分かりにくいですが、グレーTBOの物はやや黒みがかっており、黒TBOの物は明るい感じになっています。
時期によって違うのか、たまたまこうなっているのかは分かりませんが、このような違いがある事もあるようです。操作感は特に変わりません。
支持球の土台補修
支持球を外した時、支持球を支えている土台も一緒に取れてしまいました。
取れた原因は筐体を丸ごと水洗いをしたあと乾燥させる時に、支持球を外しておこうと思い後ろから突いたところ、水が付着していたためか支持球が土台部分に張り付いていたようで、画像のような状態になってしまいました。
ホットボンドを使って土台の固定をする事にします。
支持球を付けたままの状態で土台を乗せます。
ホットボンドを付けます。
土台の周囲の窪みにホットボンドをほんの少量付けて、付けたらすぐにさっとホットボンドを引いて離します。素早く離す事で糸を引くように伸びるボンドを切る事ができます。
その少量のボンドが固まる前に指で広げて土台を固定します。ホットボンドは多少熱いですが割と平気です。
これは失敗例です。ボンドがボールにもかかってしまっています。
失敗した時はボンドが乾くのをまってから剥がします。
土台の固定に成功しました。画像のように少量のボンドを土台を囲むように付けます。
あとは先の細い物などでボンドが支持球よりも高くならないように押し込んだり削ったりします。
整えたら実際にボールをセットして、引っかかりがないか確認をして完了です。