カードバス接続eSATAカード(SiI3512)のデータ転送速度
カードバス接続のeSATAカードを使ったときのデータ転送速度について扱います。取り付けるノートPCに次第で高速なeSATA接続なのにUSB2.0の速度にも届かない場合もあるようです。
テスト環境
eSATAカード
左側がI-O DATA「CBESA」、右側がBUFFALO「IFC-CB2ES」です。共にSATAコントローラにSiliconImageのSiI3512を採用し、カードバス接続のeSATAインターフェイスカードになります。これらをノートPCに接続します。
ドライブ
ACARD ANS-9010を接続します。このドライブにはデスクトップPC用のDDR2メモリを乗せる事ができ、ハードディスクのようなデータドライブとして扱えます。接続先によっては読み書き100MB/s以上の速度が出るので、今回のテストで使う各ノートPCでの限界速度が見られると思います。
ベンチマークソフト
CrystalDiskMark2.2で速度計測を行います。
ドライバ
CBESAのドライバは公式HPのVer1.11、CB2ESは公式で公開されていないので付属CDのドライバを使用しました。
カードバスコントローラによる速度の違い
IBM Thinkpad T42 9ZJ (TI PCI-4520)
CPU | Pentium M 765 (2.1GHz) |
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OS | Windows XP SP3 |
カードバスコントローラ | TI PCI-4520 |
テスト結果
なかなかのスコアが出ています。これなら最近(09年3月)のHDDでも十分な速度が期待できます。
DELL Latitude X300 (RICOH 5C476)
CPU | Pentium M 738 (1.4GHz) |
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OS | Windows XP SP3 |
カードバスコントローラ | RICOH 5C476 |
テスト結果
CBESAはUSB接続の方が早そうな感じです。CB2ESの書き込みは遅いですが読み込みは良い速度が出ています。
NEC Lavie M LM500/7D (RICOH 5C476)
CPU | Pentium M 1.4GHz |
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OS | Windows XP SP2 |
カードバスコントローラ | RICOH 5C476 |
テスト結果
Latitude X300と同傾向です。コントローラがRICOH 5C476だといまいち速度が出ないようです。
カードの比較
外観
この2枚のカード、シール以外は同じ物に見えます。片方のカードをセットアップした後、もう片方のカードへ差し替えるとそのまま使えたりします。
同じカードで別のドライバ@Latitude X300
CBESAのドライバ
CB2ESのドライバ
2枚ともドライバに応じてほぼ同スコアが出ます。
ハードウェアID
デバイスマネージャでハードウェアIDを見てみると、両方とも同じIDが表示されます。これらのカードはOEM品で同じ物のようです。
ドライバやフィルタによる違い@RICOH 5C476
ここではRICOH 5C476を積んだLatitude X300を使ってテストを行います。
フィルタドライバ
これらのカードはSiI3512のドライバをインストールした後にフィルタドライバという物を入れます。CB2ESの説明書によると「動作を安定させ、パフォーマンスを十分に引き出すためのプログラム」だそうです。
CB2ESではドライバのインストールと同時、CBESAではドライバの後に別途フィルタを入れます。これまで行ったベンチマークでは用意されたドライバとフィルタはセットで入れて計測を行いました。各ドライバフォルダを見てみるとCBESAはVer"1.2.0.57"、CB2ESはVer"1.3.61.0"でした。これらの組み合わせを変更してベンチマークを行ってみます。
フィルタ導入後の表示
左の画像はドライバをインストールしただけの状態です。フィルタを導入するとメーカー名が後ろ側に表示されます。
最新ドライバ?
画像はCBESAの付属CDですが、よく見てみるとVerの表記が1.20で公式ページにあるVer1.11より新しいようです。このCDのSiI3512のドライバのVerは"1.3.68.2"です。フィルタドライバは公式HPの物とタイムスタンプが同じで変化はないようで、ドライバだけ更新されています。
フィルタドライバを変更したときの変化
CBESAのフィルタドライバ
ドライバの違いによる差はほとんどありません。
CB2ESのフィルタドライバ
最新ドライバの方が若干スコアが良いですが大きな差はありません。
フィルタドライバなし
フィルタドライバを入れない状態では、CBESAフィルタとほぼ同等の結果になりました。この環境ではCBESAのフィルタドライバが効かないようです。
CBESAのフィルタドライバの別バージョン
現在I-O公式では1.11のサポートソフトの他に1.01と1.00が提供されています。1.01は他のVerのフィルタと同じ結果でした。
CBESAのフィルタドライバ1.00
1.00付属のフィルタドライバでは読み込みが改善し、CB2ESのフィルタドライバと同等の結果になりました。
効果に影響が出るファイル
試しに1.00のフィルタドライバのフォルダから、1.20のフォルダに対して「DDSetup.exe」を上書きしてセットをアップを行ってみたところ特に変化なし。「CBESASET.sys」を上書きするとフィルタの効果が出ました。
「CBESASET.sys」を1.00からコピーしておけば他のVerのフィルタドライバでも速度の改善ができるかもしれません。
Vista用フォルダに追加されているファイル?
右の画像はVistaのフィルタドライバフォルダです。新たに「CBSET.sys」というファイルが追加されています。「CBESASET.sys」とサイズやタイムスタンプなど似ていますが中身は異なるファイルのようです。
フィルタによる違い@TI PCI-4520
ここではTI PCI-4520を積んだThinkpad T42でテストを行います。ドライバはどれも大差がなさそうなので1.3.68.2(09年3月 SI公式にある最新Ver)を使います。
フィルタドライバを変更したときの変化
フィルタドライバなし
PCI-4520ではフィルタなしでも十分な速度が出ています。
CBESA1.00とCB2ESのフィルタドライバ
CB2ESフィルタは特に変化なし、CBESAのフィルタは入れる事でランダム4kが4M程度落ち込んでいます。PCI-4520ではフィルタを入れない方が無難でしょう。
CBESA1.20のフィルタドライバ
Latitude X300やLavie Mで変化の無かったサポートソフトウェア1.20のフィルタの影響が出ています。1.00と同傾向のようです。
まとめ
- SiI3512のeSATAのPCカードは環境によっては速度が出ない事がある。
- コントローラがTIのPCI-4520の場合は十分な速度が出そう。フィルタドライバは不要。
- RICOHの5C476の場合は速度が出ない事がある。フィルタにより読みは大幅、書きは若干改善。
- SiI3512のドライバのバージョンは速度にあまり影響を与えない。
- CBESAは公式HP上のサポートソフトよりも付属CDの方が新しい。(旧パッケージは違うかも)
- CBESAのサポートソフト1.01~1.20のフィルタドライバが効かない事がある。
- その場合サポートソフト1.00のフィルタで改善する事もある。
- IFC-CB2ESは公式HPにサポートソフトを置いていない。中古で買う時は付属CDの有無に注意。
カードバス接続SiI3512搭載eSATAカード@09年3月時点
メーカー | 型番 | 販売 | チップ | ホット プラグ | 対応OS | 備考 |
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BUFFALO | IFC-CB2ES | 終了 | SiI3512 | ○ | 2000/XP | eSATAブート可能 MigrateEasy付属 |
I-O DATA | CBESA | 現行 | SiI3512 | ○ | 2000/XP/Vista | フィルタが怪しい |
Logitec | LPM-CBSA152 | 現行 | SiI3512 | ○ | 2000/XP | Vistaドライバ配布中 アクセスランプ搭載 |
RATOC | REX-CB15S | 現行 | SiI3512 | ○ | 2000/XP/Vista | 64bit対応 アクセスランプ搭載 |
玄人思考 | SATAE2-CB | 現行 | SiI3512 | ? | 98SE/Me/2000/XP | Win98SE以降対応? |
この中でブート機能を持つIFC-CB2ESは生産終了のため中古で入手するしかありません。フィルタドライバが不要の機種ではどのカードを選んでも特に問題はないでしょう。フィルタが必要な場合、HPを見る限りしっかり動作検証してそうなREX-CB15Sがよさそうです。