古いBuffalo製無線ルーターの交換

とても古いルーターから古いルーターに交換します。

WHR-G54Sと負荷テスト

Buffaloの無線ルーターWHR-G54Sを購入してから10年ぐらい経過しましたが、24時間稼働にもかかわらず故障や不調もなく使えています。10年前の製品なので対応するLANの規格は古いですが、接続する機器に高速な物はないので問題ありません。しかし、普段使わないどうでもよい用途で気になる点が出たので、他のルーターに交換して動作が変わるかどうかテストをしてみます。

テストに使用する機器

型番有線無線アンテナ最大
電力
発売
規格速度規格速度
WHR-G54S10067 / 554gb1113.42005/08
WZR-G144N10094 / 844ngb79.532382006/07
WZR2-G300N10083 / 664ngb82.432382007/09
WHR-HP-G300N10092 / 914ngb93.62224.952009/08
WZR-HP-G301NH1000151 / 1314ngb121.7333142010/03

速度の単位はMbps、最大消費電力の単位はWです。有線の速度はFTP/PPPoE、無線の速度は製品ページに書かれている至近距離で出る値で、ルーターから離れるほど下がっていきます。アンテナの数は例えば3-2-3ならアンテナ本数は3、送信はその中の2本を使い、受信は3本全て使います。

CPU周り

型番メーカーCPU周波数メモリ
WHR-G54SBroadcomBCM5352200 MHz16 MB
WZR-G144NBroadcomBCM4704264 MHz16 MB
WZR2-G300NRalinkRT1310A400 MHz16 MB
WHR-HP-G300NAtherosAR7240400 MHz32 MB
WZR-HP-G301NHAtherosAR9132400 MHz64 MB

CPUが異なるので単純な比較はできませんが、後に作られたものでより高クロックなら、WHR-G54Sよりも処理性能が期待できそうです。

負荷時の速度テスト

G54Sを使っている時によそのPCで重めの通信をしていると、通信のレスポンスが悪くなります。少し新しいルーターに変更したら、その辺をうまく処理してくれる事に期待してテストを行います。

テスト内容は以下の通りです。Steamは回線速度をフルに使ってダウンロードしているようなので負荷が高そうですが、FEZのアップデートはたいした通信量じゃなさそうな割に重くなります。

型番無線SteamFEZ
WHR-G54S4330 kbps282.4 kbps316.1 kbps
WZR-G144N854.8 kbps296.0 kbps381.6 kbps
WZR2-G300N14330 kbps324.3 kbps539.1 kbps
WHR-HP-G300N4570 kbps390.0 kbps406.6 kbps
WZR-HP-G301NH2350 kbps226.9 kbps209.3 kbps

負荷時の速度はどれもそれ相応に遅くなりました。機器によって素の通信速度に大きく差が出ていますが、他機種でも回線上限の16Mbps弱ぐらいは出るので参考になりません。

上りはどれも大差なく、負荷時に2~3割減になる程度でした。ついでにFEZのPingも調べてみましたが、どの機器も似たような値でした。

多少性能が上がる程度の交換では変化がありませんでした。

ルーターの消費電力

動作中の消費電力を測定しました。

型番仕様電源ONWANLAN通信時
WHR-G54S3.4 W3.8 W4.0 W4.2 W4.2 W
WZR-G144N8 W6.3 W6.5 W6.7 W6.7 W
WZR2-G300N8 W3.4 W3.7 W4.0 W4.3 W
WHR-HP-G300N4.95 W3.0 W3.2 W3.5 W3.9 W
WZR-HP-G301NH14 W4.3 W5.1 W5.7 W5.9 W

各値から0.1~0.2W減の変動があります。時々「通信時」の値よりも消費電力が数百mW増える事がありますが長続きせずに落ち着きます。「LAN」は無線がONになってる時点で電力は消費されているらしく、無線PCの有無で消費電力は変わりませんでした。

WHR-G54Sが意外にも仕様以上の電力でした。反対にWZR2-G300NとWZR-HP-G301NHが仕様と比べて低めの値になっています。G301NHはNAS機能で接続されるUSB機器の電力も加味された値なのかもしれません。上の2機種は通信の有無での電力の変化がほとんどありませんでした。

ルーターに付属するACアダプタ

仕様で5W以下の2機種は電圧が低めになっています。3.3Vは2005年あたりまでの機種、5Vは2012年のWHR-300HP以降はなさそうです。12VでもWZR2-G300Nみたいな省電力の機種があるかもしれません。

ルーター型番AC型番電圧電流仕様 / AC電力ACだけ接続時の電力
WHR-G54SUS112-33203.3 V2.0 A3.4 / 6.6 W0W
WZR-G144NUI315-1212 V1.25 A8 / 15 W0.9W
WZR2-G300NUI315-1212 V1.25 A8 / 15 W基本0Wで時々0.3W
WHR-HP-G300NUS1005235 V2.3 A4.95 / 11.5 W基本0Wで時々0.3W
WZR-HP-G301NHWA-18G12U12 V1.5 A14 / 18 W0W

ルーターは常時電源が入っているので意味はないですが、単独で付けっぱなしの時の電力消費が抑えられています。

WZR-G144NとWZR2-G300Nのアダプタは型番は同じですがラベルは異なり、前者のプラグはセンターがピンになっているタイプで後者は通常の穴が空いています。WZR-G144NとWZR-HP-G301NHの電源ジャックの大きさは同じで、それぞれのACアダプタで動作させる事ができます。WZR-G144NのアダプタをWA-18G12Uに変更しても電力は同程度でした。

モデムのACアダプタ交換

モデムのACアダプタにトランス式の12V-0.75Aが使われていたので、WZR2-G300Nのスイッチング式ACアダプタに交換してみました。プラグの外径が異なるので変換プラグを挟み接続してみると動作し、電力が6.5Wから4.5Wに下がりました。非純正のアダプタを使う事で動作保証外の運用になり、故障の原因になる可能性がありますが、条件さえ合えば割と動いたりします。

他社製省エネモデル

現行(2015年)ローエンドモデルは電力(4W前後)と価格(3000円前後)が控えめな物が多いです。性能機能は2の次で低燃費を重視するならこのあたりから選ぶとよいかもしれません。最近はアンテナ内蔵の物が主流になっているようです。

型番有線無線アン
テナ
消費
電力
発売大きさ
規格速度規格速度
CG-WLR300NX100?4ngb?内蔵24.42014/04146x108x32
WF300HP2100933ngb95内蔵23.52014/05118x75x31
WN-G300R3100?4ngb?内蔵23.92014/11125x98x27
MZK-MF300HP2100?4ngb?内蔵23.02014/11175x115x32
WSR-300HP1000?3ngb?内蔵25.82015/01140x140x31
WRC-300GHBK21000?4ngb?内蔵24.12015/07183x130x26

WHR-HP-G300N

省エネに外部アンテナとWHR-G54Sのような特徴を持つWHR-HP-G300Nを使う事にしました。

WHR-HP-G300Nと見た目や型番が似ている機種

光沢のある黒い見た目や型番は似ていますが中身は別物です。

型番CPU無線
チップ
規格アンテナ消費
電力
大きさ
場所着脱
WHR-G300NRT3052F?100
ngb
2内蔵-6140x127x25
WHR-G301N
WHR-300
AR7240AR9283100
ngb
2内蔵-7.6143x127x25
WHR-300HP
WHR-HP-G300N
AR7240AR9283100
ngb
2外付可能4.95142x124x25
WZR-HP-G300NH
WZR-HP-G301NH
AR9132AR91031000
ngb
3外2内1不可14165x158x30
WZR-HP-G302H
WZR-300HP
AR7240AR92801000
ngb
2外付不可14165x158x30
WZR-HP-AG300H
WZR-600DHP
AR7161AR9220
AR9223
1000
angb
2外付不可13.2165x158x35
WZRとWHR横並べ WZRとWHR重ね

大きい方がWZR、小さい方がWHRでこの世代の同じシリーズなら大体大きさは同じです。WHRとWZRのデザインは似ていますが、重ねると結構大きさが違います。WHRのアンテナ内蔵機種は、アンテナを除くとほぼ同じ大きさです。

WZRとWHRアンテナ WZRとWHRコネクタ

WZRのアンテナは寝かした時の収まりは良いですが直付けになっています。WHR-HP-G300NはRP-SMAコネクタが付いていてアンテナの着脱が可能です。背面のコネクタはWHRが電源・WAN・LANx4の標準的な実装になっています。WZRはそれに加えてNAS機能用のUSBコネクタが付いています。

型番の命名規則

型番のAGNは無線の規格、HPはハイパワーの略で無線の出力がそうでない物と比べて強化されています。2012年頃から無線のGやNは型番に表記しなくなり、AはD(Dual=2.4GHz+5GHz)になり、数字は2.4GHzと5GHzの理論値の合計になっています。

それに習って「WHR-HP-G300N」を表記すると、GとNは消してHPはそのまま残し「WHR-300HP」になります。「WZR-HP-AG300H」の場合、2.4Gの300と5Gの300を足して600、2.4Gと5Gの2つでDualのD、ハイパワーのHPを付けて「WZR-600DHP」となります。

後継の製品は「WHR-300HP」と「WHR-300HP2」のように末尾に数字が足されます。「WHR-HP-G300N」と「WHR-300HP」のハードウェアは大差ないようですが、「WHR-300HP」と「WHR-300HP2」は別物になっています。といった具合に後継機はほぼ同じだったり別物になったりと様々です。

頭の3文字は製品のグレードで、下位のWHRとWSR、上位のWZRとWXRのような扱いになっています。現行にWZR型番はなく、WHRも1つだけなのでこれらは終息するのかもしれません。

ACアダプタ

純正品のACアダプタは5V-2.3A(11.5W)です。もし使っているアダプタが壊れた場合、動作保証外の行為になりますが、外径4.0mmの極性センタープラスに5Vで1.5A(7.5W)以上のアダプタが代用できます。最大電力が4.95Wなので1A(5W)でもまかなえそうですが、多少の余裕を取った方がよいでしょう。

Sonyの携帯用ゲーム機PSPの5V-2.0A(2000mA)のアダプタは条件に該当し、広く普及した製品なので入手性もよいです。取り付けてみたところ問題なく動作しています。

低電圧駆動

さらなる省電力を狙って5V以下のアダプタを入手してみました。仕様は4.2Vで定格より0.8V低いです。取り付けてみると起動しましたが、元の電力と比べて0.1W減でした。テスターでアダプタの電圧を見てみると4.45Vとなっており、0.5V減ではたいした効果はないようです。

WHR-HP-G300Nにプロファームを導入

Professional Firmwareは多機能ファームウェアDD-WRTの海外Buffaloカスタマイズ版です。失敗に備えて予備や代用のルーターを用意してから試した方がよいでしょう。

プロファームの導入

ファームウェアのバージョンを最新の1.98ではなく1.96にしておきます。念のため底面のリセットボタンを長押しして初期化しました。リセットはルーターの電源を入れてDIAGの点灯が消えた後、リセットボタンを数秒押したままにするとDIAGの点滅が始まり、点滅が終わると初期化終了です。その後自動的に通常の起動が行われます。

無線接続は設定時に毎回切断されて面倒なので有線接続で作業します。ルーターの設定はルーターモードにしています。

プロファームのダウンロード

http://buffalo.jp/support_ap/support/products/whr_hp_g300n.htmlにアクセスして「Professional Firmware V24-SP2 build 19154」をダウンロードして解凍しておきます。「User-Friendly Firmware」はノーマルファームウェアのUS版です。

プロファームのインストール

http://192.168.11.1にアクセスします。このときユーザー名とパスワードの入力が求められるので、名前は「bufpy」パスは「otdpopy」と入力します。初期化直後なので今回は不要ですが、何かパスワードを設定している場合、otdpopyの後に続けて設定したパスワードを入力します。

「管理設定」タブの「本体」を開くと、下の方に4つリンクが張られています。
その中の「/cgi-bin/cgi?req=frm&frm=py-db/firmup.html」をクリックします。

Firmware Updateの画面が表示されるので、「参照」ボタンを押して解凍したファイルの中にある
「whrhpg300n-pro-v24sp2-19154.enc」を指定します。「OK」ボタンを一度だけ押して画面の変化がないまましばらく待つとアップデートが始まるので、画面の指示に従って待ちます。

しばらくするとプロファームの導入が完了します。一応ルーターのDIAGが点灯していないか確認して、消灯していたら設定を始めます。

プロファームの初期設定

導入後、設定は通常のファームウェアと同じ192.168.11.1を開いて行います。

設定画面にアクセスできなかったり、設定が反映されない場合はブラウザを変更したり、履歴の初期化をすると改善するかもしれません。最初はFireFoxではダメでIEを使って設定しましたが、一度ファームを入れ直した後は反対にIEがダメでFireFoxで設定を行いました。

ユーザー名とパスワード

設定画面にアクセスすると、まず最初にユーザー名とパスワードを設定する事になります。その2つとパス確認の項目を埋めて先に進みます。無記入はダメでした。

日本語表示

メニュー上部にある「Administration」タブの「Management」を開きます。ついでに「Web Access」の「Protocol」にあるHTTPSにチェックを入れておきます。画面を下にスクロールすると「Language Selection」があります。「Language」のプルダウンをクリックしてJapaneseを選びます。画面の下の方にある「Apply Setting」ボタンを押して設定を反映させると表示が日本語になります。

送信出力の設定と11nの倍速モード

「無線LAN」の「基本」を開きます。「詳細設定」のチェックボックスをクリックし、「送信出力」の値を変更します。初期設定は20ですが、10以下に変更する必要があります。値を変更して最下段にある「設定」ボタンを押して値を反映させると送信出力が変わります。

数値を10に変更後、最初のページか「機器制御」の「システム情報」に表示される送信出力の値を見てみると12.14dBm以下の12dBmとなっています。数値を10から下げていくと以下のようになりました。

設定値10987654321
表示 [dBm]12.011.010.09.08.07.06.05.0

「無線LAN PHY動作モード」で11nを有効にして設定を反映させると「チャンネル帯域」で40MHzが選べます。40MHzにする場合は「送信出力」の設定値を7以下にして9.14dBmを超えないようにします。

「チャンネル帯域」がTurboでチャンネルを固定した時に「Wideチャンネル」が空欄になるチャンネルを指定すると親機が見えなくなります。

WANとNTPの設定

「基本」の「基本」を開きます。「インターネット接続方法」をDHCPやPPPoEなど環境に合わせて指定します。

下の方にスクロールして「時刻設定」を行います。「タイムゾーン」のプルダウンからUTC+09:00を選び、「サマータイム」はなし、「サーバーIP」に「ntp.nict.jp」と入力します。

最後に「設定」ボタンを押して完了です。後は無線のセキュリティなど必要に応じて適宜設定をしていきます。

ノーマルファームウェアへの戻し方

「管理」の「ファームウェア更新」を選択します。「参照」ボタンを押してBuffaloの公式ページで配布されているファームウェアを指定します。今回はバージョン1.98の「whr_hp_g300n_jp_198」を指定しました。「更新の実行」を押すとアップデートが始まるのでしばらく待ちます。DIAGが消灯した後に192.168.11.1を開き、名前rootにパス無しでログインすると通常の設定画面に戻っていました。

1.98だとbufpyでログインできなさそうなので1.96に下げてから、最初からの手順を再びするとプロファームに戻す事ができました。必要に応じて入れ替える事ができるようです。

プロとノーマルのルーター動作

ノーマルv1.96ではまれに回線が切れる事がありましたが、プロv19154の安定度は長年使っていたG54Sと同等に感じます。この環境では普通に使うだけでもプロファームの方が良いようです。

その他設定

QoS設定

「NAT / QoS」の「QoS」を開きます。「QoS機能」を有効にし、「ゲーム向けに最適化を行う」のチェックも入れます。他の設定は変更せず、Up/Downの帯域は0を消して空欄にしました。最下段の「設定」ボタンを押したら反映されます。

変更後、移管してから安定して200以上出ていたFEZのPingが2桁まで下がりやすくました。完全に改善というほどではないですが、環境によってかなりの効果があるようです。負荷時の回線速度は初めのテストと同じ結果でした。

無負荷時のテストは回線上限の16Mbps弱だったので、遅い回線ではこの設定が速度の足を引っ張ることはないようです。

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