NEC VersaPro タイプVR(2011年10月発表モデル)の部品交換

NECの法人向けノートVersaPro下位モデルの部品交換を行います。

同世代同タイプのVersaProの仕様

PC-VK16ERZCD VersaPro VR-D

このノートはPC-VK16ERZCDという型番で下記のVK16ER-Dに含まれます。タイプVAはタイプVRと同じ外観を持ち、マザーボードも同じAR1Hが使われているので、このページの交換と同様のことができるかもしれません。

電源投入時のNECのロゴが表示されている時に、F2キーを押すとBIOS設定画面、F7キーを押すとブートマネージャー、F11を押すとリカバリ(ディスク内にデータがあれば)が行えます。BIOS設定画面のVer表記は705A0900でした。BIOS画面などでもFn + F8 / F9キーによる輝度調整が可能です。ブートマネージャーからUSBメモリを選択して起動できますが、SATA端子に何も接続していない状態だとUSBメモリが表示されませんでした。

種類タイプVRタイプVA
発表2011年10月
ベースモデルVK16E/R-D
VJ16E/R-D
VK22L/R-D
VJ22L/R-D
VK16E/A-D
VJ16E/A-D
VK22L/A-D
VJ22L/A-D
チップセットモバイル インテル HM65 Express チップセット
CPUソケットSocket G2(rPGA988B)
CPUB710i3 2330MB710i3 2330M
メモリスロットDDR3-1333 SO-DIMMスロット x2
最大メモリ容量16GB(公称4GB)公称8GB
ドライブベイ2.5インチ 9.5mm厚 SATA3(600MB/s)
スリムベイスリムラインSATA 12.7mm厚 SATA2(300MB/s)
mini PCI-EUSB未配線 ハーフサイズ x1
PCカードカードバス対応 TypeI/IIスロット x1
その他端子USB2.0 x4 / D-sub15ピン / 1000BASE-T
サウンド3.5mm出力 / 3.5mm入力 / ステレオスピーカー
ディスプレイ15.6型非光沢LED液晶 1366x768 WXGA

後継モデル

種類タイプVRタイプVA
発表2012年5月
ベースモデルVK17E/R-E
VJ17E/R-E
VK24L/R-E
VJ24L/R-E
VK17E/A-E
VJ17E/A-E
VK24L/A-E
VJ24L/A-E
チップセットモバイル インテル HM65 Express チップセット
CPUソケットSocket G2(rPGA988B)
CPUB720i3 2350MB720i3 2350M

1世代あとのモデルです。CPUが1つ上位になった程度の違いしかないように見えるので、このあたりの機種も同様のことができるかもしれません。

種類タイプVA
発表2012年10月2013年5月
ベースモデルVK18E/A-F
VJ18E/A-F
VK24L/A-F
VJ24L/A-F
VK18E/A-G
VJ18E/A-G
VK25L/A-G
VJ25L/A-G
チップセットモバイル インテル HM75 Express チップセット
CPUソケットSocket G2(rPGA988B)
CPUB730i3 3110M1000Mi3 3120M

その次のモデルは外観やカードバスなどの入出力端子は同様ですが、チップセットがHM75に変わってIvy Bridgeに対応しています。CPU以外はこのページの内容と同様に行えそうです。

次の2013年10月モデルは相変わらずカードバス付きですが外観やチップセットが変わり、端子類は一新されてUSB3.0x4にHDMIx1というそれまでと比べて豪華仕様になります。

各OS用ドライバ

CPU・メモリ・mini PCI Expressソケットへのアクセス方法

ネジ数本で各部品を交換できるベアボーンのようなノートです。

裏面各ネジ位置 裏蓋のネジ位置

本体裏面のネジ4本を外し、取っ手を引っ張ってフタを取ります。

裏蓋内の配置 フタの爪

閉める時はフタに付いている爪をはめてからネジを締めます。ネジを締めてから押し込むと爪が折れるかもしれません。

マザーボードのバッテリー

マザー上の電池を外し方 マザー上の電池を外す

mini PCI Expressソケットの横に時刻等を記憶するための電池が付いています。シールを剥がしてマイナスドライバで軽く押し込んで持ち上げると外すことができます。電池が勢いよく飛んでいくので気をつけてください。外してしばらく放っておけばBIOSの設定値が初期化されます。

ドライブベイのディスク交換

ドライブベイのネジ HDDを引き出す

バッテリーを外し、高温注意の上あたりにあるネジ2本を外せばドライブを取り出せます。取っ手がなかったのでピンセットで引き出しています。

SATA端子 HDDを差し込む

ディスクを取り外したドライブベイの中を見てみると通常サイズのSATA端子が見えます。ここには9.5mm厚以下の2.5インチSATA接続HDDやSSDが搭載できます。SATA端子は底面にあるので、HDDを差し込む時はノートをひっくり返して通常の向きにしてから押し込み、ネジ止めして固定します。

ドライブベイのSATA

SATA3

SSD接続時のベンチマークで300MB/s以上の値が出たのでSATA3接続のようです。CrystalDiskInfoの表示でもSATA600となっています。

スリムベイをドライブベイに変更

スリムベイのネジ 金具とネジ

プロダクトキーがあるあたりのネジを2本外すと、スリムベイに取り付けてある光学ドライブなどが引き出せます。ドライブに取り付けてある補助金具で本体とネジ止めされています。

側面の金具 背面の金具

取り付け用の金具はネジ止めされています。他のドライブに交換する時はこの金具を移植します。

SlimlineSATAとIDE

元々搭載されていたDVDドライブは、厚さ12.7mmで端子はスリムラインSATAです。画像右側のような厚さや端子が異なる製品もあるので、交換用の製品を選ぶ時は注意です。

セカンドHDDアダプターの取り付け

光学ドライブの利用頻度が少ないなら常時内蔵するメリットは薄いので、スリムベイをドライブベイにしてしまうと便利です。スリムドライブ用外付けケースも購入すれば、内蔵ドライブを外付けにして必要な時にだけ接続することもできます。

2ndHDDアダプターパッケージ 2ndHDDアダプター付属品

今回は12.7mmセカンドHDDアダプターを利用します。光学ドライブ用ベゼル・プラスの精密ドライバー・ネジ4本が付属します。

2ndHDDアダプター表 2ndHDDアダプター裏

プラスチックの外枠を薄い金属板で挟んだような感じになっています。ケースの内側にSATA端子があるので、HDDやSSDを手前に乗せて押し込むと接続できます。2.5インチ9.5mm厚以下のHDDやSSDが搭載できます。

固定金具の移植

外した取り付け金具 ドライブの穴の位置

元のドライブから金具を取り外しました。並べてみると同じ位置に穴が開けられています。

ネジの溝を切る 長いドライバー

穴は規定の位置にありますがネジの溝が切られていないので、先に金具は付けずにネジだけで回して溝を切ります。斜めにならないように面と垂直になるようにして慎重に作業を行います。付属のドライバーより長いものがあると楽に進みます。

ネジが固定できる程度に進んだら金具を取り付け、ネジをあまり深く進め過ぎないようにします。今回はやり過ぎてネジがいくらでも回るような状態になってしまいました。

金具横 金具後ろ

固定用金具を取り付けました。

ベゼルの交換

金具後ろ

ベゼルの前面にある小さな穴に針金などを差し込むとトレイが飛び出します。

ベゼルの爪左 ベゼルの爪右

このベゼルの爪は両端に1つずつあります。

元のドライブからベゼルを外す ベゼルの比較

極小のマイナス精密ドライバーで爪を持ち上げてベゼルを外しました。アダプターに付属していたベゼルと比べてみると爪が同じ位置にあります。

ベゼル交換後

取り外したベゼルをHDDアダプターに取り付け、アダプター付属ベゼルは取り外したDVDドライブに付けました。この状態でHDDアダプターを取り付けると、外見からはドライブを交換したかどうか分からない出来栄えです。元の光学ドライブは何か適当なケースに入れれば外付けとして利用できます。

ディスクの取り付け

スペースを埋める部品を外す ディスク取り付け

ディスクの取り付け前に黒く細長いパーツを外します。これはディスクのスペースを埋めるための部品です。ディスクを取り付けたら細長い部品を隙間に収めて取り付け完了です。あとは本体に差し込んでネジ止めしてHDDアダプターを固定します。

スリムベイのSATA

ドライブベイに付けていたSSDを付けて電源を入れるとOSが起動しました。ベンチマークを取ってみると内蔵では350MB/sだったのが250MB/sになったので、スリムベイはSATA2接続のようです。

SATA300 リビジョンB2

CrystalDiskInfoでの表示もSATA300(SATA2)となっています。CPU-Zで表示されるチップセットのリビジョンはB2です。

リビジョンB2とSATA2はSandy Bridge登場当初に問題となったIntel 6シリーズチップセットの不具合に該当する組み合わせで、使用していくと劣化が進んでSATA2接続ができなくなります。

このノートの出荷は2012年1月で製造はおそらく数ヶ月前、B2は2011年3月頃には回収され不具合が修正されたB3に切り替わっているので、B2が使われているとは考えにくいです。発売から5年近くたつ今でも使えているので表示がおかしいのかもしれません。

メモリを16GBに交換

規格DDR3DDR3L
電圧1.5V1.35V
速度1066MHz / 1333MHz / 1600MHz

DDR3メモリは2種類の電圧が主流になっています。

SP016GLSTU160N22

今回購入した物はシリコンパワーの1.35V-1.5V両対応204ピンDDR3L-1600 8GBx2です。2電圧対応の物と標準電圧用に価格差がなかったので、機会があれば使い回せる両対応を選んでいます。Sandy BridgeのCPUは一部を除いて1333MHzまでの対応なので1600MHzは余計ですが、電圧と同じ理由で選んでいます。わざわざ高い物を買う必要はありませんが、値段が大差ないならちょっとよい仕様のメモリを選んだ方がよいです。

メモリの交換前に

休止状態やWin8以降の高速スタートアップを使っていないなら無効化するとディスク容量が浮きます。止め方は管理者でコマンドプロンプトを起動して「powercfg /h off」と入力すると無効化され、メモリの容量分ディスクが空きます。有効にしたい時は「powercfg /h on」と入力します。

システムドライブに大容量のHDDを使っているならそのままでもさほど影響はないですが、128GB以下のSSDを使っている状態で16GBも容量を取られるのは大きいので交換前に無効化しておくとよいかもしれません。

メモリの交換

メモリ空きスロット メモリ2枚装着

メモリは両脇の取っ手のような部分を外側に押し広げると外れます。元のメモリを外して新しいメモリを装着すれば交換完了です。

BIOS画面のメモリ容量

仕様の最大メモリは4GBですが、BIOS画面では乗せたメモリが正常に認識されて16GBと表示されています。Sandy Bridge世代のモバイルCPUに搭載されているメモリーコントローラーは最下位のCeleron B710も含めて最大16GBまでの対応なので、メーカーが妙な制限でもかけてない限り動作するはずです。4コアCPUは32GBまで対応していますが、メモリースロットが4つあるノートでないと最大まで積めません。

交換後のアイドル時の消費電力

8チップの1GBx2から16チップの8GBx2にすることで、アイドル時に約1Wほど消費電力が増えました。1枚だけにすると1G2枚と同程度の消費電力になります。

mini PCI Express用カードの増設

mini PCI Expressスロットが空いていたので何か差してみます。カードの形状はハーフサイズで、Core2世代でよく使われた長いフルサイズのカードは使えません。カードの固定にはネジが必要です。

mini PCI Express mini PCI Expressソケット

テープで貼られているのはアンテナ線です。2本来ているので、無線LANカードを取り付けるなら2つ端子がある物を用意します。端子が3つあるカードでも、とりあえず2本つなげればアンテナ2本分の速度で使えるようです。

Intel Centrino Advanced-N 6230(62230ANHMW)を取り付けました。これは無線LANとBluetoothのコンボカードですが、mini PCI-EにUSBの配線が来ていないとBluetoothは使えません。

ワイヤレスデバイスの有効化

無線LANカードを取り付けてアンテナ線をつなげてもそのままでは使えず、BIOSの設定画面でワイヤレスデバイスを有効化する必要があります。

起動してみると無線は使えましたがBluetoothは使えず、この機種のminiPCIにはUSBの配線は来ていないようです。6230の無線LANのみ有効の状態でアイドル時の電力が約1W増加しました。

無線LANの規格とアンテナ本数と速度の関係

規格11b11g11a11n11ac
アンテナ1本11Mbps54Mbps150Mbps433Mbps
アンテナ2本300Mbps867Mbps
アンテナ3本450Mbps1300Mbps

アンテナの本数は4本以上ある物もありますが、ノートだと大体2~3本です。bgaのアンテナは1本だけ通信状況がよい方を利用します。nとacはアンテナそれぞれで通信を行ったものを束ねて速度を稼ぎます。規格やアンテナの本数は送信機・受信機どちらも対応している必要があります。

例えば11nの通信でノートのアンテナが3本あっても、ルーターのアンテナが2本なら最大300Mbpsになります。ルーターが11n非対応だったら、その前の規格の11gを使った接続になり最大54Mbpsになります。

他に、アンテナが2本あっても両方使うのは受信だけで送信は1本のみというカードもあり、受信は最大300Mbpsで送信は150Mbpsといった物もあります。

キーボードの取り外し

背面のネジ

キーボードのネジはHDD用ネジの両隣にあります。

隙間から持ち上げる

F7あたりの上段のキーに指をかけて軽く持ち上げ、わずかな隙間にテレホンカードを滑り込ませます。キーの土台部分はは簡単に破損するのであまり力をかけないようにします。キーボードの上段両端あたりに爪があるので、テレカを横にスライドさせながら外します。

キーボードのフラットケーブル

キーボードが外れたらそのまま持ち上げず手前へひっくり返します。中央付近にフラットケーブルがあるので外します。

キーボードのロック ロックを外す

フラットケーブルは黒い部分を倒してロックされています。その黒い部分を持ち上げるとロックが解除されてケーブルを外せます。元に戻す時はケーブルを差し込んで黒い部分を倒します。ロック部分はもろいので取り扱いに注意します。

キーボードの下

キーボードの下にはフラットケーブルが2本見える程度で特に何もなく、分解や交換以外で外す意味はありません。

Sandy Bridge世代のSocket G2(rPGA988B)用CPU

Ivy BridgeもSocket G2ですが、Sandy Bridge世代のノートでは動作しません。Ivy Bridge世代のノートでSandy Bridgeにも対応していれば両方使えるようです。

動作するかは不明ですが、物理的に乗せることができるCPUの一覧です。

B型番CPUGPUTDP
HT周波数TBL3名称周波数最大
C
e
l
e
r
o
n
B7101×1.6GHz×1.5MBIntel HD
Graphics
650MHz1.0GHz35W
B7201.7GHz
B7301.8GHz
B8002×1.5GHz2MB1.0GHz
B8101.6GHz0.95GHz
B8151.05GHz
B8201.7GHz
B8301.8GHz
B8401.9GHz1.0GHz
P
e
n
ti
u
m
B9402.0GHz1.1GHz
B9502.1GHz
B9602.2GHz
B9702.3GHz1.15GHz
B9802.4GHz
i32310M2.1GHz3MBIntel HD
Graphics
3000
1.1GHz
2330M2.2GHz
2350M2.3GHz1.15GHz
2370M2.4GHz
i52410M2.3GHz2.9GHz1.2GHz
2430M2.4GHz3.0GHz
2450M2.5GHz3.1GHz1.3GHz
2520M2.5GHz3.2GHz
2540M2.6GHz3.3GHz
i72620M2.7GHz3.4GHz4MB
2640M2.8GHz3.5GHz
2630QM42.0GHz2.9GHz6MB1.1GHz45W
2670QM2.2GHz3.1GHz
2720QM2.2GHz3.3GHz1.3GHz
2760QM2.4GHz3.5GHz
2820QM2.3GHz3.4GHz8MB
2860QM2.5GHz3.6GHz

ターボブーストの値は1コアのみブーストした時の最大値です。デスクトップ版と比べてモバイル版は以下のような目立った違いがあります。他にL3キャッシュや周波数、TDPなどにも差があります。

CPUのグレードが上がった時の変化

グレードによる周波数以外の変化内容です。一部を除き下位シリーズの機能は上位にも実装されています。

2500M以降のvPro/VT-d/TXTはチップセットの対応も必要なので、もしこのノートでそれらCPUが動作しても追加機能は利用できません。

ACアダプタの交換

PC-VP-WP123 PA3715U-1ACA

この後のCPUの交換で消費電力が増えるので、ACアダプタの容量が大きい物に交換します。左が元のACアダプタADP-65JH E(PC-VP-WP123)で右が今回交換に使うPA3715U-1ACAです。元のアダプタの出力は19V×3.42A≒65W、もう1つは19V×3.95A≒75Wで電源を強化できます。

交換に使うACアダプタは「電圧が19V」、余裕を持たせて「電流は4.5A以上」の90W近くの物にするとよいでしょう。プラグは同じ形状・極性の物なら余計な手間がかからなくてよいです。プラグの形状が違っていてもACアダプタのプラグ交換のようにプラグを変えれば大体の物が使えます。

今回のACアダプタは例に挙げた数値より出力が低いですが、プラグと極性が一致し、今回交換するCPUが乗っていたノートの付属品なのでそのまま流用しています。

20VのACアダプタ

ADP-90SB AD

20V×4.5A=90WのADP-90SB ADです。定格は19Vなのであまりよろしくはないですが一応20Vでも動作します。テスターで電圧を測ってみると65Wは19.26V、75Wは19.49V、90Wは20.37Vでした。これぐらいの差ならきっと誤差みたいな物です。

ACアダプタの形状

大きさ比較 プラグの形状

3つを並べてみると出力が大きいほど大きくなっています。出力が大きい割に小さいアダプタもあるので都合のよい物を探すとよいでしょう。プラグの形状はストレートよりL字の方が断線しにくいような気がします。

プラグの大きさと他機種

12Vの電源端子

このノートのプラグは12Vの製品でよく使われる電源端子にそのまま差せるので、間違って接続してしまうと過電圧によるHDDの故障のように接続先の機器を壊してしまいます。もしそばに接続できそうな製品がある場合は取り扱いによく気をつけた方がよいでしょう。電源ケーブルを接続していなかったので助かりましたが、この電源でも一度やらかしました。

CPUをCore i7 2630QMに交換

i7ノートから回収した2630QMを取り付けます。

ヒートシンクのネジ位置 ヒートシンクを外す

CPUのヒートシンクを外すにはネジ6本とCPUファンの電源ケーブルを外します。ネジはファン付近の2本を先に外して、CPUの4本は最後に外しました。ファンのケーブルは根元をつかんで揺すりながら軽く引っ張って外します。ヒートシンクはまた取り付けるのでグリスを落としておきます。グリスはジッポオイルを使うと落としやすいです。

ソケットのロック解除 Celeronを取り外す

ソケットのロックはマイナスドライバで回せば外れます。Celeronを取り外しました。ロックは外したままにしておきます。

2630QMを取り付け ヒートシンクの取り付け

2630QMを取り付けてソケットをロックし、CPU用の放熱グリスを塗ってヒートシンクを取り付けます。ヒートシンクのネジはCPUそばの4本を取り付けてからファンの2本を締めました。モバイルCPUはコアがむき出しで欠けやすいので慎重に行います。以上のように簡単な作業でCPUの交換が行えます。

Core i7 2630QMの動作確認と消費電力

BIOS表示とハイパースレッディング

BIOS画面のCPUの表示 CPU使用率

75Wアダプタを接続して電源を入れると無事起動し、BIOS画面の表示も2630QMと表示され正しく認識しています。タスクマネージャーを開くとCPU使用率が8つ表示されており、ハイパースレッディングが効いて4コア8スレッドになっています。

ターボブースト

TB無効 TB有効

ターボブーストの状態確認のためにIntel Extreme Tuning Utility(XTU)をインストールしてみると、左の画像のようにTBは無効になっており、シングルスレッドのベンチマークを行っても倍率は定格の20倍までしか上がりません。しかしThrottleStopで倍率を変更してみるとTBが有効になりました。一手間加えればこの環境でもTBは使えるようです。

このままXTUを起動し直しても表示が変わらなかったのでPCを再起動してからTBを有効にし、そのあとXTUを起動してみると右の画像のようになりました。2630QMは条件を満たすと1コアのみなら最大29倍、2コアなら28倍、3と4コアなら26倍まで上がるようです。

XTUで設定が変更できず

何か変更できないかとXTUの設定画面を開いてみましたが、設定項目はグレー表示なっていて一切変更はできません。

ThrottleStop

ThrottleStopで倍率を定格以上にしてから右下の「Turn on」ボタンを押せばTBが有効になります。負荷に応じて21倍以上の定格越え倍率になります。

ThrottleStopで倍率制御を行う場合、Windowsの電源設定で最大と最小を同じ値にしておきます。CPUの電圧のボタンがグレー表示なっていますが、Core2までのCPUならここで変更できました。

Windowsの電源設定と倍率

Windowsの電源オプションの詳細設定にあるプロセッサの電源管理の値を変更した時の倍率の値です。最小と最大2つの値が設定でき、その間で倍率が変動します。最小と最大を同じ値にすれば倍率を固定できます。

周波数と消費電力

数値は「アイドル / 負荷」です。アイドルはWindowsでしばらく放置した時の最低値、負荷はPrime95を8スレッド開始1分間の最高値です。電圧はCPU-Z、電力はワットモニター、温度はOpenHardwareMonitorで確認しています。

構成は2630QM/8GB1枚/SSD/輝度最低/90Wアダプタ、バッテリーと無線とDVDなし、室温は26℃です。

電源設定周波数倍率電圧電力温度
0~44%0.8GHzx80.791V / 0.801V11.3W / 24.3W38℃ / 54℃
45~49%0.9GHzx90.816V / 0.826V11.3W / 26.1W38℃ / 56℃
50~54%1.0GHzx100.841V / 0.851V11.3W / 28.1W38℃ / 58℃
55~59%1.1GHzx110.866V / 0.876V11.3W / 30.3W38℃ / 60℃
60~64%1.2GHzx120.891V / 0.901V11.3W / 32.8W38℃ / 62℃
65~69%1.3GHzx130.901V / 0.911V11.3W / 33.6W38℃ / 63℃
70~74%1.4GHzx140.921V / 0.936V11.3W / 36.0W38℃ / 65℃
75~79%1.5GHzx150.941V / 0.966V11.3W / 38.6W38℃ / 68℃
80~84%1.6GHzx160.971V / 0.996V11.3W / 41.7W38℃ / 70℃
85~89%1.7GHzx170.991V / 1.021V11.3W / 44.6W38℃ / 72℃
90~94%1.8GHzx181.016V / 1.051V11.3W / 48.2W38℃ / 76℃
95~99%1.9GHzx191.041V / 1.081V11.3W / 52.2W38℃ / 80℃
100%2.0GHzx201.066V / 1.111V11.3W / 56.4W38℃ / 84℃

待機電圧は8倍なら0.791V、0.796V、0.801V、0.806Vと表の値から若干変化します。負荷電圧はほとんど変化しません。アイドル時はコアの倍率が指定倍率と8倍で頻繁に切り替わったりCステートなどの省エネ機能でうまく節電しているようです。

20倍固定でPrimeを10分続けてみると最大96℃になり、ダウンクロックして倍率は17~19倍で変動していました。このノートで動画のエンコードなどの時間がかかる高負荷処理目的で、上位の4コアCPUを乗せても周波数面でのメリットは薄そうです。そこそこの負荷の処理なら高倍率のTBも含めて処理の高速化が期待できます。

とりあえずWindowsの電源設定は初期値の5~100%でよさそうです。長時間の高負荷処理を行う時や夏場に発熱がきつい場合は最大を65%程度にすればマシになるでしょう。

液晶の輝度と消費電力

明るさ消灯6203046567282100
消費電力7.8W10.7W11.4W11.7W12.3W12.6W13.2W13.5W14.3W

数値確認に使ったソフトを起動していないので上の値より若干下がっています。輝度を上げるとかなりまぶしいですが消費電力はあまり変化がありません。この15.6型LED液晶は輝度最低で3W、最高で6.5W程度の消費電力になるようです。

ACアダプタ変更時の消費電力

上のAC交換で出てきた3台を接続した時の消費電力です。電源断はACを付けたまま電源OFFの状態、未接続はAC単体の状態です。プラグを差した時に一瞬数値が出ますが、それ以降はほとんど0Wです。

AC電源設定周波数倍率電力スリープ電源断未接続
65W100%2.0GHzx2010.5W / 56.5W0.6~0.7W0.3~0.4W0W
75W10.5W / 56.3W0.7~0.8W0.4W0W
90W11.3W / 56.4W0.5~1.2W0~0.9W0W

結果はたいして変化なしでした。

先に4コアCPUだけ手に入れて65Wアダプタで使う場合、定格だとUSB機器やオンボードビデオなどによって定格越えもありそうですが、最大倍率を16倍程度に抑えればそのまま使えそうです。

CPUクーラーの掃除

CPUファン CPUファンを取り外す

ファンのホコリは羽を軽く押さえて掃除機やブロワでホコリを取り除きます。汚れがひどい時はネジ3本を外してファンを外して掃除をすることもできます。

ヒートシンク@内側 ヒートシンク@外側

ヒートシンクにホコリが詰まると排熱が滞るのでチェックしておきます。掃除はヒートシンクを外して歯ブラシでも使った方が手っ取り早いかもしれません。

ファンの隙間

ファンは持ち上げると土台部分と分離します。羽部分の直径は56mmでした。

ファンの隙間 つまようじで隙間を広げる

ファンの軸に直接グリスを塗ることができるのでメンテナンスが容易です。軸は見ての通り結構細いので取り扱いには気をつけた方がよいでしょう。

ヒートシンク

ヒートシンク表 ヒートシンク裏

CPU交換の時に取り外したヒートシンクです。ファンの仕様は違うかもしれませんが見た目は上位のCore i3モデルと同じ物です。搭載されているファンはPanasonicのUDQF2ZR74CQU、5V-0.17Aのファンです。

1コア搭載機種(VK16E/R-D)と4コア搭載機種(T551/58CB)のヒートシンク

横幅と高さ比較 奥行き比較

元々2630QMが乗っていたノートのヒートシンクとの比較です。高さは同等、幅や奥行きがやや負けていますが圧倒的というほどの差はありません。

ヒートパイプ比較

ヒートパイプはそこそこ差があります。4コア搭載機種はパイプが2本あったり今回のT551のように太いなどヒートパイプに力が入っているので、このあたりの作りは冷却への影響が大きいのかもしれません。

ファン比較

T551のファンはDELTA KSB06105HA 5V-0.4Aで、松下の5V-0.17Aより風量が強そうです。羽の直径は53mmで大きさはほぼ同じです。

PCカード

このPCの拡張スロットはExpressじゃない方のPCカードスロットだけ付いています。PCカードだと無線LANなら11nまで、USBも3.0はなく2.0までなどCore2あたりの時代で新製品は止まっています。また、64ビットOS用のドライバがない場合もあります。

汎用カードバス

デバイスマネージャを見てみるとメーカー名はなく汎用のドライバがインストールされています。ハードウェアIDはVEN_1217&DEV_8134&SUBSYS_A0361BCFでした。前に行った実験だとTIのチップは読○書○、Ricohは読×書×でしたが今回のカードバスコントローラではどうなるかベンチマークをしてみます。

転送速度

eSATAカード

カードバスeSATA USB2.0

左がカードバスeSATA接続、右が本体内蔵USB2.0接続のベンチ結果です。読○書×という結果になりました。前の実験の2つとはまた違った結果です。フィルタを入れてもベンチ結果に影響はありませんでした。書き込み8MB/sでは大容量のHDDは扱いづらく、読み書きのバランスが取れたUSB2.0接続の方が使い勝手はよいかもしれません。

USB2.0カード

カードバスUSB2.0

カードバスUSB2.0接続のベンチ結果です。書き込みはCバスにも劣る酷い状態になっておりデータ転送用途では使えませんが、マウスなどの入力デバイスを接続する分には問題ありません。ですがUSB2.0は元々4つも付いているのでUSBポート増設の必要性は薄いです。

SDHCカードリーダー BN-SDDBP3

BN-SDDBP3 BN-SDDBP3@R61

SDカードリーダーのBN-SDDBP3にSanDiskUltra4GBを装着した時のベンチ結果です。左はこの機種、右はThinkpadR61のデータです。やはり書き込みは劣りますが、低容量のSDカードなら使えなくもない速度は出ています。

このPCカードはカードスロットにぴったり収まってはみ出ないので装着したままにできます。本体にSDカードスロットを追加するような感じで使い勝手はよいです。Windows 10でも使えました(右のベンチは10で実行)。しかし64bit用ドライバがないという致命的な弱点があります。

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