HITACHI FLORA 350W DE3のケース
市販のマイクロATXマザーボードにフルハイトの拡張カードが搭載可能なスリム型メーカー製PCです。
FLORA 350W DE3
Pentium 4が主流だった頃の日立製デスクトップPCフローラのケースです。スリムケースですがロープロファイルではないフルハイトの拡張カードが使え、一般的なマイクロATXマザーボードに交換する事もできます。大きいのは嫌だけど拡張性はある程度欲しい場合にちょうどいいケースです。ただし、電源がSFXを少し大きくしたような独自サイズなので交換をする場合は少々面倒です。
同じケースを採用した機種
製品構成によって型番の末尾は異なりますが、大まかに分けるとDE3・DE4・DE5の3種類がこのケースを採用しています。DE1・DE2・DE6・DE7もスリムケースですが流用ができない独自タイプになっているので注意してください。
型番 | FLORA 350W DE3 PC8DE3 | FLORA 350W DE4 PC8DE4 | FLORA 350W DE5 PC8DE5 |
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チップセット関連 | |||
チップセット | 865G | 865GV | |
ソケット | Socket478 | ||
メモリ | DDR1 x2 | ||
メモリ速度 | 333MHz | ||
HDD | UATA/100 | ||
拡張スロット | |||
AGP | 1 | ||
PCI | 3 | ||
その他 | |||
OS | XP/2000 | XP | XP/2000 |
SFX電源用穴開け
標準で付いている電源は大きさはSFX電源に近いですが若干異なります。そのため一般的なSFX電源を取り付けるためには加工が必要になります。元の電源のネジはミリネジなので流用する時は気をつけてください。
SFX電源と比べると幅がやや小さく、高さが大きめになっています。ケースの出っ張りに対応したくぼみがあり、ネジ穴の位置が異なります。
作業前に
マザーボードなどのケース内に付けられているパーツをすべて外します。以前別のケースでファン用の穴を開けた時、あとで掃除機で吸い取れば大丈夫だろうと横着してマザーは付けたまま作業したところ、電源ONと同時にマザーと電源が焦げて亡くなりました。
ケースの出っ張り
ケースの電源取り付け部付近に出っ張りがあります。標準電源にはくぼみがあって取り付けられますが、SFX電源は引っかかって付けられなくなるので曲げてしまいます。
丸で囲っている部分はケースを固定するリベットですが、これもSFX電源取り付け時にぶつかってしまいます。これをつぶすとケースの強度が怪しくなるのでSFX電源の位置を調整して対処します。
ネジ穴開けの失敗例
元の電源はネジ穴が4つですが、ファンを下向きにしたSFX電源のネジ穴は画像のようになります。
穴開け位置の長さを測って正確な位置を決めるのは難しいので、一般的なATX電源にSFX電源を取り付けるための変換板を利用します。この変換板は単体で売られていたり(1000円弱)、SFX電源に付属していたりします。
変換板の裏側には小さな突起などがあるので、変換板を裏返しにしてテープで固定して穴の位置の印を付けました。側板は付けておき、ネジ穴は側板にかぶらない位置にします。
今回は元のケースの開口部の下段と変換板の開口部の下段を合わせて固定しましたが、これが失敗の原因になりました。最初は上段に合わせるつもりでしたが、内部の出っ張りに引っかかったので下に合わせることにしました。
ポンチで傷を付ける
円の中央にポンチを当てて金づちでたたいて傷を付けます。
ピンバイスで穴をあける
ポンチで付けた傷に刃を当てて、ピンバイスで穴を開けます。電動ドリルでもあれば楽でしょうが、ピンバイスは人力なので非常につらい作業です。
開いた穴をリーマーで広げる
このままではネジが通らないので、リーマーでネジが通る程度に穴を広げます。
3カ所の穴開け終了
長時間の作業を終えて3カ所に穴が開きました。早速SFX電源を取り付けてみると、ネジ穴の位置にずれはなく取り付ける事ができました。しかし側板を取り付けようとするとしっかり閉まりません。
何事かと側板をひっくり返してみると出っ張りがあり、これが電源の上部に当たって閉まらなくなっています。電源の位置はもっと低い位置にする必要があったようです。
穴開け再作業
今回はケース下側のネジ穴と、変換板の下側のネジ穴の位置を合わせました。この位置に開けると電源の下側がバックパネルの金型のすぐ上に来るようになるようです。
穴開け
何とか作業を終えてSFX電源を取り付けてみると、ネジ穴がずれています。
ずれた穴を棒ヤスリで横に広げてネジを取り付けました。今度は側板が若干かぶって側板が閉まらないので少し削ります。
電源端子用に開口部を広げる
無事SFX電源が取り付けられ、ふたも閉められるようになりました。しかし、電源端子付近が少し隠れてしまっています。このままでは使えないので開口部を少し広げる事にします。
画像のように外側から8mmのあたりに線を引きます。この画像の時点の線は10mmぐらいでしたが、これでは足りませんでした。電源端子の位置は電源によって微妙に異なるので、ある程度余裕はあった方がよいです。
ハンドニブラーで大まかに金属板を削り取り、残りは棒ヤスリで削ります。左の画像は10mm線での作業途中ですが、このまま続けても引っかかる事に気づいて8mmで線を引き直しています。
線はピカールで軽くこすって消しました。
SS-300SFDの取り付け
ここまで作業を終えて結局取り付けたのが、ファンが出っ張っているためそのまま付ける事はできないSS-300SFDです。これを上下逆さまにして取り付けています。幸い上部にはスペースと開口部があるので電源に風が一切流れないという事はないでしょう。
ネジ穴は左下が元々開いていた部分、右上は新しく開けたネジ穴と電源の通風口にネジを引っかけて固定というか支えにしています。しかし、電源端子の抜き差しには耐えられそうもないので対策してみます。
小さめの結束バンドの先端を曲げてネジ穴と通風口を通します。
結束バンドで固定しました。左下のネジと右上のバンドの2点止めですが、なかなかしっかり付けられています。
前面端子
前面にUSB x2、音声入出力の端子があります。この部分はネジを外すと外れます。
内部の端子に専用のケーブルを接続してマザーボードに取り付けます。ピンには切り抜きがあるのでケーブルをもう片方の端子に誤って差したり、上下逆に差す事はできないようになっています。ピンアサインは音声の方はAC97、USBの方も一般的な並びになっています。
マザー取付と前面端子の接続
適当にパーツを使って組み立てます。
バックパネル
まずバックパネルを取り付けます。一般的なバックパネルならどれでも付けられます。
マザーボードの取り付け
マザーボードを取り付けます。CPUクーラーは裏面に板を張り付けるネジ止め式なので先に取り付けました。このケースのマザーのネジはミリネジです。
今回のマザーはメモリスロットが2つの奥行きが短いマザーですが、メモリスロットが4つあるような奥行きがあるマザーでも取り付けられる余裕があります。
LEDと電源スイッチの接続
マザーボードの説明書のピンアサインと見比べてLEDのケーブルを接続します。変更する必要はなかったのでそのまま取り付けています。
電源スイッチのケーブルですが、今回のマザーでは電源LEDの横に接続する必要があります。
電源スイッチケーブルの端子を裏側にし、爪を持ち上げてケーブルを引っ張ると外れます。爪はもろいので軽く持ち上げる程度にしてください。
引き抜いたケーブルを差し込みます。差し込んだ後に軽く引いてみて外れなければOKです。すぐ外れる場合は金属の端子の向きを変えて差し込んでください。差し込む場所を間違えた場合は同じ手順で爪を持ち上げて外します。今回は電源LEDの横が電源スイッチなので緑のケーブルの横に差し込んでいます。
改めて前面LED/電源スイッチのケーブルを接続します。ばらけないようにそばの支柱に固定しました。
前面端子用ケーブルの接続
マザーボードに前面端子用ケーブルを接続します。
ケーブルが地味に邪魔なので底面の通気口を利用して固定しました。
リセットスイッチの増設
他のケースから引き抜いたリセットスイッチです。マザーボードの説明書を参考に、端子群のリセットスイッチのところに差し込めばリセットスイッチとして機能します。このケースにはリセットボタンがなく、リセットスイッチの固定はできませんが、CPUの限界を探る時などフリーズが多発する時に増設しておくと便利かもしれません。
同じようなリセットスイッチが単体でも販売されています。
3.5インチベイ
オープンベイ
取り付け
オープンベイは爪を筐体の溝に引っかけて取り付けます。取り付けたらネジを締めて固定します。
前面側もネジ止めします。FDD固定用のネジと、筐体固定用のネジは両方ミリネジです。
HDDを取り付ける場合
このオープンベイのネジ位置はもともと付いていたフロッピーディスクドライブのネジ位置に合わせられていて、HDDは両脇1つずつしかネジが付けられません。
手前側にエアキャップなどの緩衝物を敷き、ネジ止めをします。
オープンベイなのでHDDがむき出しになります。
シャドウベイ
シャドウベイはHDDと同じネジ位置です。
シャドウベイのネジ取り付け位置にはゴム製のクッションが挟まっており、若干長めのネジが必要になります。
取り付け
シャドウベイもオープンベイと同じように溝と爪を引っかけてネジ止めします。
取り付け後
2つのベイを取り付けると画像のようになります。オープンベイ側は手前に取り付けられているのでやや奥まった位置に端子があります。
シャドウベイはまだ使わないので、なくしそうな微妙に長いネジを袋詰めにしてテープで固定しました。
5インチベイ
5インチベイの金具には今回は使いませんがスリムドライブ用のスペースもあります。
5インチ用のドライブを取り付けました。
筐体に取り付けてみると、CPUクーラーにぶつかって付けられませんでした。画像のANS-9010は5インチ用のドライブとしては長めなので、最近の光学ドライブのような奥行きが短いタイプでは問題ないと思います。
高さ45mmの薄型CPUクーラーに交換したところ、ドライブが奥まで入るようになり配線もできました。
取り付けができたら最後に手前のネジ4本を締めて固定します。
ケースファン
背面に6cmファンが2つ付いていますが、12V0.32Aで1つ約3Wの消費電力なので風量はありますがうるさいです。Pentium 4を冷やすにはこれぐらい必要かもしれませんが、そこまでのCPUを使う予定はないので取り替える事にします。
手持ちにあったこの6cmファンに交換します。12V0.18Aと風量、騒音、消費電力は控えめです。もう片方の6cmファンはそのままでこれ1つだけ回す事にします。
ファン電圧の変更
6cmファン交換後に、画像のような4ピン端子から3ピンの端子を4つに分けるケーブルが出てきたので、これを利用して標準ファンを活用してみます。
この変換ケーブルの4ピン端子には2つピンが刺さっています。黒がGNDで黄色が12Vです。この12V端子を反対側に移動すると3ピン端子に5Vが供給されるようになります。
中のピンは爪で固定されており、この爪をピンセットでつかむとピンを引き抜く事ができます。
引き抜いたピンは反対側の端に差します。
差し込んだら軽く引っ張ってみて外れないか確認してください。外れる場合はピンの爪が寝ている状態になっているので、まち針などの細い針で持ち上げます。
消費電力
ファン変更前後の消費電力です。
- 6cmファン無し:64.3W
- 標準6cmファンx2@12V:70.4W、約6W増
- 標準6cmファンx2@5V:65.1W、約1W増