ハンダ作業に必要な工具と作業例
ハンダ作業に使用する工具と作業例の紹介です。
使用工具
ハンダ作業に必要な工具です。ハンダはオーディオ用などの用途向けで売られていますが、違いはハンダの太さです。このサイトの作業なら1~1.2mmの物でいけます。
価格
ここで扱った画像に出ている工具の一覧です。価格は千石電商の通販価格です。
メーカー | 型番 | 製品名 | 価格 |
---|---|---|---|
太洋電機産業 | TQ-95 | goot 即熱半田鏝ストレート型CAP付 | \2520 |
太洋電機産業 | ST-11 | goot ハンダこて台丸型 | \788 |
太洋電機産業 | SD-65 | goot 音響部品用ハンダ 線径1.2mm | \263 |
太洋電機産業 | BS-75B | goot 無洗浄タイプフラックス20cc | \399 |
太洋電機産業 | BS-R20B | goot フラックス洗浄剤20cc | \399 |
太洋電機産業 | GS-104 | goot ハンダクリーナーφ3.2mm | \1103 |
太洋電機産業 | CP-3015 | goot 吸取線ケース入り幅3.0mm長1.5m | \194 |
ハンダごて、ハンダごての台、スポンジ
ハンダごてと台&スポンジです。このサイトの作業なら20W程度の物が一本あればこなせます。ハンダごての台は必須ではありませんが、あった方が安全です。コテ先洗浄用のスポンジは必須です。
スポンジに水を付ける
使用前にスポンジの入った容器に水を足します。水は傾けてこぼれない程度で十分で入れすぎないようにします。水気がなくなってきたら面倒ですがその都度足します。
ハンダごて先端の掃除
ハンダごてをコンセントに接続してしばらくすると、コテの先端が酸化して黒ずんできます。
準備したスポンジに先端をササッとなでつけるようにします。すると先端の黒ずみが取れます。そのまま放っておくと先端が真っ黒になってハンダが全く溶けなくなるので、定期的に先端を洗浄する必要があります。洗浄後は一時的にコテ先の温度が下がるので、数秒程度の間を置いてからハンダ付けを行います。先端に少量ハンダを盛ってからサッとなでつけると、先端がハンダメッキされます。
フラックス関連
フラックス
フラックスです。キャップにはけが付いていて、それを使ってハンダ付けを行う金属部分にフラックスを塗りつけます。フラックスを塗る事で、金属へのハンダの乗りが良くなり、うまくハンダ付けを行えるようになります。無いと作業が難しくなるので用意した方が良いです。使用中はフタを外した状態なので倒してこぼさないように気をつけてください。
フラックス除去液
上のフラックスの汚れを落とす除去液です。無くても問題はありません。これもフラックスのようにキャップに付いたハケで塗りつけます。
除去液を使うと画像のような汚れをきれいにできます。綿棒にジッポオイルを付けて代用できますが、細かな部分は除去液に付いているハケの方がやりやすいです。
ハンダ吸い取り
ハンダ吸い取り器
バネの力でハンダを吸い取るハンダ吸い取り器です。
画像のように押し込むとボタンが飛び出て使用可能状態になります。
ボタンを押すと吸い取り器の先端の中の金属棒が、バネの力で勢いよく戻り、その力でハンダを吸い出します。もちろんハンダが溶けている状態でないと効果はありません。吸い出したハンダは後ろの部分を押し込んだ時に出てきます。この吸い取り器の先端は熱に強いようで、ハンダごての先端に接触しても溶けません。
ハンダ吸い取り線
ハンダ吸い取り線です。網目状になった線で、この線をハンダに押し当て、その上からハンダごてを当てると溶けたハンダが網目状になった部分に吸い上げられます。私はうまく扱えないので主に上の吸い取り器を利用しています。
ハンダ吸い取り器の詰まり
長年使用していたハンダ吸い取り器が何かに引っ掛かって押し込めなくなりました。思いっきり押し込んでみると先端のキャップが外れ、中からハンダの塊が出てきました。長年の使用で少しずつ貯まっていったようです。中に入っていた物を全て出してキャップを付けると再び使えるようになりました。
ダンボール
先端にハンダが付いたコテ先をスポンジに付けるとハンダが周囲に飛び散るので、画像のようなダンボールの手前の1辺だけ開けた物を用意すると掃除が楽になります。
その他
コテ先の変更
大抵のハンダごてには先のとがったB型のコテ先が付いています。今回交換するC型は先端が斜めにカットされた形状をしています。
B型と比べてC型は接触する面積を稼ぎやすく、より熱を伝えやすいです。
TQ-95用コテ先
TQ-95用に購入したC型コテ先TQ-77RT-3Cです。銃型タイプのハンダごてTQ-77と共通部品で、コテ先の型番は95でなく77が使われています。それぞれのハンダごての線用品を購入してください。
交換用コテ先TQ-77RTにはいくつか種類があり、TQ-77RT-Bの用に末尾の表記が変わります。今回の3Cより小さな2C、標準のB型より細いSB、B型を斜めにカットしたようなBCなどがあります。
TQ-95のコテ先は中央部分を回せば外せます。堅くて回せない場合はプライヤーなどを使います。
長年使っていたせいか別部品の金属パイプがコテ先と結合しています。前後を持ってひねると外れました。あとは元の部品はそのまま流用して新しいコテ先を取り付ければ交換完了です。
洗濯挟みのような物
こんな洗濯挟みのような物があると、ハンダ付け時に役立ちます。写真の物はダイソーの工具売り場で4つ100円(税抜き)で売られていました。
マイクロスイッチの取り外し
マウスなどで使われるマイクロスイッチを扱います。
取り外し
このスイッチの足は3本です。このままハンダごてを当ててもハンダが溶けないので、まずは3本足のそれぞれにハンダを足す追いハンダをします。足にフラックスを塗り、ハンダごてを足に当てて2秒ほど待って対象を熱し、ハンダを追加、対象のハンダが溶けるのを確認してからハンダごてを離します。
これでハンダが溶けやすくなって作業ができます。
足2本にハンダごてを横から当てます。ハンダが溶けたらスイッチを指でつかんで引っ張ります。すると少しだけ外れます。次は逆側の足2本のハンダを溶かしてスイッチを引っ張ります。これを繰り返してスイッチを外します。足を熱しすぎるとスイッチも熱くなるので気をつけてください。
マイクロスイッチが外れました。
スイッチに残ったハンダ除去
この外し方をするとスイッチの足にハンダが残りやすいです。ハンダが付いたままになった場合、足を出した状態でテープで固定し、横から先端に少量ハンダを持ったハンダごてを当て、ハンダが溶けたところで吸い取り器で吸い出せばきれいにできます。
2本足小型マイクロスイッチの取り外し
あまり見かけない2本足の小型マイクロスイッチです。足はタクトスイッチのように横から出ています。
スイッチの足にハンダを盛ります。2本両方同時に溶かすには足が離れすぎているので、1本ずつ溶かしながらスイッチを引っ張ります。
少しずつ引っ張りながら外しました。
スイッチの足に余分なハンダが付いているので、スイッチを固定し、吸い取り器の先端を当てて準備し、横からハンダごてを当てて、溶けたら吸い取り器で吸い取ります。
2ピンコネクタの取り外し
様々な機器でたまに見かける2ピンのコネクタです。
足2本にハンダを盛ります。画像ではブリッジしていますが、溶かしやすくなるので問題ないです。ハンダを盛ったら横からコテを当て、2本同時にハンダを溶かしながらコネクタを引っ張ります。
2ピンコネクタを取り外す事ができました。
5ピンコネクタの取り外し
マウスに使われるケーブルの内部コネクタでよく見かける5ピンコネクタです。
5ピンに追いハンダをします。一部ブリッジしていますが、してもしなくてもどちらでも構いません。スイッチを引っ張りつつ、ハンダごてを動かしながら5本足全てを溶かします。ハンダごての熱がピンを経由してダイレクトに来るので気をつけてください。
少しずつコネクタが浮き上がり、最後には外れました。
余分なハンダの除去
足に余分なハンダが付いている時は、画像のようにコネクタをテープで固定し、吸い取り器を構えて、横からハンダごてを余分なハンダに当てます。そこを吸い取り器で吸い出せば除去できます。
SOP(SOIC)交換練習
この小さなチップはSOP(Small Outline Package)、もしくはSOIC(Small Outline Integrated Circuit)といいます。捨てても問題ないジャンク基板にこの大きさのチップが付いていたので、付け外し練習に利用してみます。
チップの取り外し
足にフラックスを塗ってからハンダを盛り、各端子をブリッジさせます。
ハンダを溶かしながらラジオペンチで持ち上げます。少しだけ持ち上がりました。ピンセットを使った方が傷は付きにくいです。
反対側も持ち上げて、ハンダを吸い取り機で余分なハンダを吸い出します。これで取り外しができました。
チップの足に付いたハンダ除去
取り外したチップの足に余計なハンダが付いています。チップを固定し、ハンダ吸い取り器の先端を足の近くにし、先端にハンダを盛ったハンダごてを横から足に当てます。ハンダが溶けたら吸い取り器で吸い取ります。
足に付いたハンダが取れました。
基板掃除とハンダ付け準備
チップを取り外した基板のあたりですが汚れが付き、一部端子がブリッジしたままです。ブリッジはハンダごてを当てれば外れます。基板の端子に付いたハンダを利用してチップをハンダ付けしますが、もし端子にあまりハンダが残っていなければ少し足しておきます。汚れを落とし、仕上げにフラックスを塗ります。
チップの取り付け
チップにある印と、基板上の目印で位置が間違っていないか確認します。確認が済んだらチップを端子の上に乗せます。
何か適当な棒でチップを抑えながらハンダごてをチップの足に当てます。基板上の端子に少量ハンダが付いているので、それを使って取り付ける事ができます。
こちらも基板の端子に付いたハンダを利用してハンダ付けします。
画像では付いてるかどうかわかりにくいですが、足のハンダ付けが完了しました。
この付け外しを何度かやれば実戦に望めると思います。
基板用リードフレーム
このあと出てくる変換基板の足に「細ピンヘッダ」を使っていますが、このピンの形状が角柱になっていて、オペアンプの足などより太くなっています。そのためピンを丸ピンICソケットに差し込むと穴が広がってしまいます。それによってソケットの着脱はゆるめになりますが、自然に外れたりはしません。
そこで別の足を取り付けることにします。
秋月で売られている基板用リードフレームです。25本がひとまとめになっており、切り離して使います。手持ちのニッパーで切れなかったので、切れ目を入れ折り曲げて外しています。先端を切り離すのは取り付け後にした方がよいでしょう。
用途 | 商品名 | 価格 | 購入店舗 |
---|---|---|---|
基板のピン | 基板用リードフレーム SS2.54-6SN | \50 | 秋月電子 |
洗濯挟みなどでピンを挟んで垂直に立てます。その上に変換基板を乗せてハンダ付けします。
ピンのハンダ付けが済みました。
足の先端をカットし、チップを取り付けて完成です。
SOP(SOIC)→DIP変換基板
用途 | 商品名 | 価格 | 数 | 合計 | 購入店舗 |
---|---|---|---|---|---|
SOP8DIP変換 | AE-SOP8-DIP8(9枚) | \100 | 1 | \100 | 秋月電子 |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(1個) | \5 | 2 | \10 | 秋月電子 |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(10個) | \40 | 1 | \40 | 秋月電子 |
今回使用する部品です。変換基板は指で折り曲げて切り離せます。
細ピンヘッダの代わりに基板用リードフレームを使うと、DIPオペアンプの足と同等の大きさになります。
変換基板の作成
複数あるので使う分だけ取り出します。
フラックスを塗り、片側にピンをハンダ付けしました。
逆側にもピンをハンダ付けします。ピンが一本だけ飛び出ていたので、ハンダごてを当てながらラジオペンチで押し込みました。
変換基板の端子にフラックスを塗ってからハンダを盛ります。さらにフラックスを塗っておきます。これで後はチップを乗せてハンダごてを当てるだけでハンダ付けができます。
チップの向きをよく確認し、基板の端子とチップの足の位置を合わせて、どこか1カ所ハンダ付けしてチップと基板を固定します。この時点では画像のようにブリッジしても構いません。
1カ所固定したら、チップの足の上から先端に極少量のハンダを付けたコテを当てると、前準備で盛った端子上のハンダが溶けてハンダ付けできます。
余分なハンダは吸い取り器で吸い取ります。
変換基板への取り付け完了しました。今回取り付けたチップは幅が広いタイプですが、この変換基板で行けました。
SOP(SOIC)x2→DIP変換基板(オペアンプ用)
用途 | 商品名 | 価格 | 数 | 合計 | 購入店舗 |
---|---|---|---|---|---|
SOPx2DIP変換 | SOPX2DIP(6枚) | \100 | 1 | \100 | aitendo |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(1個) | \5 | 2 | \10 | 秋月電子 |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(10個) | \40 | 1 | \40 | 秋月電子 |
SOP(SOIC)のシングルオペアンプ2つを1つにまとめる変換基板です。基板は指で曲げれば切り離せます。上のSOPDIP変換と、下のDIPx2DIP変換を組み合わせて同じ機能にする事もできます。
今回は微妙に高いシングルオペアンプのLME49990を使っていますが、初めて挑戦する場合は安めのシングルオペアンプで練習した方が良いでしょう。
細ピンヘッダの代わりに基板用リードフレームを使うと、DIPオペアンプの足と同等の大きさになります。
4ピンの取り付け
この変換基板はピンの上にチップをかぶせるように取り付けますが、足が出ているとチップを取り付けられません。ハンダ付け前にピンの先端を削る必要があります。基板に当てて確認しながらピンを削っていきます。やり過ぎても固定が不安定になりそうなので気をつけてください。
削り終わったらピンをハンダ付けします。チップに当たるのは中央のピンなので外側のピンは適当でいいです。盛ったハンダが多少出っ張りますが、これぐらいなら大丈夫でした。
もう片方も同じ要領で取り付けます。
チップ取り付け準備
チップの端子にハンダを盛ってフラックスを塗っておきます。フラックスは1チップごと塗ります。2つまとめてやると、片方の取り付け時に手で触れるのでべたつきます。
チップのハンダ付け
基板の端子の上にチップを乗せてハンダ付けします。チップの印と基板の表示をよく確認しておいてください。
まずはどこか1つ足をハンダ付けします。若干チップが斜めになっていますが、相当手間取っていたのでこのまま行く事にしました。もう片方の端子にもフラックスを塗っていたため、画像の基板はべたべたです。
1つ固定できれば、コテ先にハンダを少量盛って上から軽く当てるだけで各足のハンダ付けが済みます。
もう片方のチップを付けようと新しいチップを端子にあてがった時、隣の向きが逆になっているのに気づきました。作業途中に何度もチップを落としてしまい、その時に向きが変わっているのに気づかず進めてしまったようです。
チップ外し
上の交換練習と同じ要領で、両足にハンダをたっぷり盛りつけ、横にしたコテを足全てに当てて溶かし、溶けたらピンセットで持ち上げます。
何とかチップを外して、向きを変えて取り付けられました。チップを外す時に足を曲げてしまったので、取り付け前にラジオペンチで曲げ直しています。
作業終了
最初のチップは数十分かかりましたが、もう片方のチップは1分で作業が終わりました。
取り付け向き
取り付けは、ソケットの切り抜きにチップの印の向きを合わせます。
DIPx2→DIP変換基板(オペアンプ用)
用途 | 商品名 | 価格 | 数 | 合計 | 購入店舗 |
---|---|---|---|---|---|
DIPx2DIP変換 | OPAMP2DIP(4枚) | \100 | 1 | \100 | aitendo |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(1個) | \5 | 2 | \10 | 秋月電子 |
基板のピン | 細ピンヘッダ 1x4(10個) | \40 | 1 | \40 | 秋月電子 |
8ピンソケット | 丸ピンICソケット(8P) | \15 | 2 | \30 | 秋月電子 |
シングルオペアンプ2つを1つにまとめる変換基板です。基板は指で曲げれば切り離せます。
穴だらけの基板ですが、画像のような配置になっています。
ソケットのピンは印のある位置から数えます。シングルオペアンプは1、5、8ピンが未使用ピンなので、変換基板上でどこにもつながっていない部分を確認すればソケットの取り付け向きが分かります。
細ピンヘッダの代わりに基板用リードフレームを使うと、DIPオペアンプの足と同等の大きさになります。
4ピンの取り付け
4ピンを両端に取り付けて変換基板を立てた状態にしてハンダ付けしました。ピンを1つハンダ付けすれば固定されるので、それぞれハンダ付けします。
画像のような微妙なバランスの状態でハンダ付けするとピンが曲がるので、手で押さえるなど固定して片方ずつハンダ付けした方が良いです。
残りの部分をハンダ付けして4ピンの取り付けが終わったかと思いましたが、ピンが曲がっています。
端子にコテを当てて曲がりを修正しました。
1つ目のソケット取り付け
取り付け前に基板とソケットの向きをよく確認しておきます。
基板を裏返してハンダ付けをします。ただ乗せただけでは斜めになるので、手で押さえてハンダ付けします。コテの先端に少量ハンダを乗せて作業しています。
ソケットを1つ取り付けました。
2つ目のソケット取り付け
2つ目のソケットも同じように裏返してハンダ付けします。
ソケットの取り付けが終了しました。
シングルオペアンプの取り付け
最後にシングルオペアンプをそれぞれのソケットに取り付けて作業完了です。オペアンプ3つ分ぐらいの高さになっています。
取り付け向き
取り付けは、ソケットの切り抜き同士を合わせます。