AUDIOTRAK MAXIMIZER
ステレオ4入力4出力のプリアンプ、4入力のミキシングも可能なヘッドホンアンプ、デジタル音声出力の同軸→光変換機能の3つの機能を持つアンプです。
AudiotrakはWiseTech(2008年にエゴシステムズから社名変更)のブランドです。
MAXIMIZER | DrHead | DrHead Hifi | im'Amp | |
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発売 | 2004 | 2003/07 | 2005/08 | 2008/06 |
価格 | ¥12800 | ¥15000 | ¥19800 | |
使用チップとヘッドホン出力 | ||||
ヘッドホン用 プリアンプ | NJM5532 x2 OPA2134 x1 | OPA2134 x1 (DIP) | ||
バッファー | PN2222 x4 PN2907 x4 (TO-92) | SST3904 x4 SST3906 x4 (SOT-23) | NJM4580 x2 (SSOP) | NJM4580 x3 (SSOP) |
出力 (32Ω) | 750mW | 100mW | 150mW | 250mW |
出力 (16Ω) | 100mW | |||
電源電圧 | 12~15V | |||
駆動電圧 | 18V (±9V) | 9V (±4.5V) | 12V (±6V) | 20V (±10V) |
プリアンプ | NJM5532 x4 | |||
ハードウェア | ||||
ボリューム | ALPS社製 | |||
HP出力端子 | 3.5mm x1 | 6.3mm x1 | 6.3mm x2 | 6.3/3.5mm |
音声入力端子 | 3.5mm x4 | RCA/6.3mm | RCA | RCA/3.5mm |
プリ出力端子 | 3.5mm x4 |
バッファーは基板に実装されていて、交換するならハンダ作業が必要です。
DrHead Hifiの2つある出力はどちらも同じで、ジャンパで15/20dBの切り替えができます。im'Ampの3.5mm出力は6.3mm出力と異なり、低インピーダンスのイヤホン向けになっています。
DrHeadは三端子レギュレーター7809から+9Vを生成して分圧し、±4.5Vで動作します。MAXIMIZERは正電源用7809に加えて負電源用7909を使い、DrHeadの倍の電圧になる±9Vでオペアンプを駆動します。
外観
サウンドカードのProdigyシリーズを販売していたAudiotrak製の「プリアンプ」「ヘッドホンアンプ」「同軸光変換」機能を持つアンプです。単体の他にProdigy 7.1とセットで販売されていました。珍しい同軸光変換機能は、光出力を持たないProdigy 7.1に合わせて実装されたようです。
Prodigy 7.1発売からしばらく後の2004年に発売され、1万程度で販売されていました。RCA端子を使った他の製品の流用のため、3.5mm端子周りに空間ができています。電源端子も流用の絡みで筐体内には実装されずに外へ出されています。
ヘッドホンアンプは同社のDr HEAD(無印)よりも良い出来で、同じく同社の数年後に発売されたPRODIGY 7.1e X-Fi Audioのヘッドホンアンプにも引けをとらず、HD580あたりのヘッドホンでもなかなか良く聞けます。32~600Ωのヘッドホンに対応します。
入出力端子
左側の入力端子に入れた音声が、内部のプリアンプを通って右側の出力端子から出てきます。プリアンプにはオペアンプが使われており、それらを交換する事によって音質の調整ができます。5~9Vのデュアル8ピンDIPのオペアンプが利用できます。
左から4つめのオレンジ色の入力端子に同軸デジタルケーブルを接続すれば光に変換できます。同軸デジタルではあまり使われない3.5mm端子ですが、一般的なRCAにする変換ケーブルが付属します。この機能を利用する場合、4つめの入出力は使えなくなります。
ヘッドホン・光兼用端子、電源端子
手前にヘッドホン端子があります。上で出てきたオレンジ色の入力端子にデジタル音声を入れている場合、ここから光デジタル音声が出力されます。デジタル変換は最大96KHzまでに対応します。
筐体から飛び出ているケーブルの先端に電源端子があります。電源アダプタはDC15V/400mAの物を使います。また、DC12V/300mAのアダプタでも使用する事ができます。
中身
背面のネジを4つ外すと分解できます。各種設定やオペアンプの交換をするには分解が必要です。
基板の配置です。
設定
各種設定は基板のジャンパを変更する必要があります。
アナログ音声入力、同軸/光デジタル変換
入力端子のすぐそばにジャンパがあり、そこを付け替える事で入力した音声レベルを調整する事ができます。画像上から0dB、-3dB、-6dBになります。通常は0dBで変更する必要はありませんが、過大な出力を持つ機器と接続する場合は下げる設定にすると良いでしょう。
オレンジ色の端子は同軸光変換機能を兼用する端子で、ジャンパが1組多く付いています。その余分に付いている部分にジャンパを付け替えると変換機能が利用できます。
センター/LFE設定
中央付近、ヘッドホンアンプのオペアンプのそばにあるジャンパは、黄色の3つめの入力端子の設定を行います。縦4つあるうちの、真ん中2つにジャンパを付けるとセンター/LFE設定、両端外側にジャンパを付けると普通のチャンネルになります。
ヘッドホンアンプの設定
画像左側の黄色で囲った部分のジャンパを変更すると、ヘッドホン出力をさせるチャンネルの設定ができます。1/2が1つめの緑色の端子、3/4が2つめの黒色の端子、5/6が3つめの黄色の端子、7/8が4つめのオレンジ色の端子になります。一番下にジャンパを付けると、4端子すべての音声がミックスされてヘッドホンでモニターできます。
画像中央の緑色で囲った部分はヘッドホン出力のレベル設定です。使用するヘッドホンに合わせて変更してください。
プリアンプの設定
プリアンプのジャンパはオペアンプのそばにあります。上から0dB、+3dB、+6dBに変更できます。
電源端子のショート
購入数ヶ月で電源が接触不良になりました。根元付近を動かすと付いたり消えたりしてましたが、そのうち完全に付かなくなりました。Dr HEADを持っていたのでそのままお蔵入りとなっていましたが、10年近くぶりに何とかする事にします。
故障箇所
症状からケーブルの根元付近の断線かと思っていましたが、外側の電源端子と内部端子をテスターでチェックしてみるとちゃんと通電しています。内部の4つの線同士で通電チェックをしてみると、すべて通電するショート状態になっていました。
基板側の端子は、画像下側の2つがプラスで共につながっており、上側2つがマイナスでこちらも2つの端子がショートしています。
内部端子の除去
修理に内部の端子は不要なので外します。この端子は画像右側に引っ張ると外れます。残ったピンはハンダごてで簡単に外せます。
ケーブルの加工
ケーブルを外して壊れていそうな根元付近をカットしました。
カットした部分の皮膜を剥ぎます。赤と白がプラスで、黒とケーブルのシールド部分がマイナスです。プラスとマイナス1本ずつあれば十分そうなので、プラスの白とマイナスのシールドはテープでまとめてしまいます。あとからするのは大変なので、この時点でケーブルストッパー代わりの結び目を作っておきます。
この状態で通電チェックをしてみると、プラスとマイナスが絶縁されていました。根元付近の赤か白のプラスケーブルの皮膜が剥がれ、マイナスのシールドに接触してショートしていたようです。
ハンダ付けと動作チェック
プラスとマイナスにハンダ付けをしました。それぞれ2つ端子がありますがどちらにハンダ付けをしても大丈夫です。とりあえず元の配線と同じ位置に付けました。ハンダ付け後、テスターで端子のショートを確認して問題がなかったので電源を接続するとLEDが点灯しました
ホットボンドと組み立て
ハンダ付けをした付近がもろそうなので、ホットボンドで補強しておきます。あとはケースに組み込みます。
ネジ止めをする支柱が非常にもろいので気をつけて締めます。ふたを閉めたら完成です。
4本付けた場合
試しに残りの2本もハンダ付けしてみましたが、特に変化はなかったので2本だけ付ければ十分のようです。
同じ形状の製品
同社の「MAYA USB」、「MAYA 44 USB」、「MAYA EX」、「MAYA EX7」、「GIGAPort AG」などでも同じ形状のケースが使われています。