Stanton DJ PRO 2000S
ヘッドバンドの解体とドライバの取り出しを行います。
Stanton DJ PRO 2000S
StantonのヘッドホンDJ PRO 2000Sです。
形式 | ドライバ | 抵抗 | 感度 | 許容入力 | 周波数帯域 | 質量 | 長さ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
密閉 | 50mm | 64Ω | 107dB | 500mW | 20~20kHz | 250g | 3m |
ハウジング
左側のハウジングにはステレオ・モノラル切り替えのスイッチが付いています。右側のハウジングの中央に窪みがありますが貫通はしていません。ハウジングの形状は一見楕円形に見えますが、微妙に三角形になっています。
イヤーパッド
イヤーパッドは布製で肌触りは悪くありませんが、厚みがあまりなく装着感はいまいち悪いです。
ヘッドバンド
ヘッドバンドはUltrasoneのヘッドホンやNeu HX-5000などで使われている物と同じです。それらの機種と同様の動きができます。
ハウジングは180度反転させる事ができます。
横方向に90度回転させる事もできます。
折りたためます。バンドにはメーカー名が書かれています。
ヘッドパッドは接着されているので、剥がして取り外す事ができます。同形状のヘッドバンドを使っているUltrasoneのHFIシリーズのヘッドパッドを付けることもできます。
ケーブル
ケーブルは3mのカールコード、端子はL字の標準プラグです。カールコードを伸ばさない状態だと1.6mぐらいになります。
片出しで左側のハウジングからケーブルが出ています。ケーブル側の端子の周囲のサイズが若干大きいため、無理にはめ込んでいるような状態なのでかなり外れにくいですが着脱可能です。
端子は一般的なミニプラグになっていますが、周囲が約7x11mmの長方形で独特な形状をしています。他のケーブルを使う場合、2辺が7mm以下になるように削れば使うことができるでしょう。
イヤーパッドの付け外し
取り外し
イヤーパッドの内側に指を入れ手前に引きます。
イヤーパッドを止めているプラスチックの部品が外れます。このプラスチックの部分は爪で固定されています。
イヤーパッドはこのプラスチックの部品に覆い被さるように付いているので、周囲の部分をめくれば部品を取り外せます。
寸法
イヤーパッド周りの寸法です。
Ultrasone HFI-550のイヤーパッドの流用
UltrasoneのヘッドホンHFI-550のイヤーパッドが近いサイズなので、試しにプラスチックの部品にかぶせてみます。
プラスチックの部品を軽く曲げながら付けたので折れないか心配でしたが付けられました。しかし右の画像のような癖が周囲に付いているため、ハウジングに取り付ける事ができませんでした。この辺りをうまく整えられれば流用できるかもしれません。
既に出た画像を並べてみると、左の2000Sは綺麗に平らになってるのに対して、右のHFI-550のパッドはめくれたように盛り上がってしまっています。
中央にスポンジがないイヤーパッド
サイズが違うので固定はできませんがPioneer SE-M290のイヤーパッドを乗せてみました。このイヤーパッドの中央にはスポンジが付いていないので、紙の部分が剥き出しになってしまいます。もし別のイヤーパッドを使う場合、このスポンジの有無もチェックした方がよいです。
プラスチック部品の裏表
この部品には裏表があるようで片側には出っ張りが付いています。この出っ張りのある方をハウジング側に向けて取り付けます。
ユニット周りの爪と凸
イヤーパッドを取り付ける時はユニット周りにある凸にプラスチック部品の凹を合わせて、イヤーパッドを押して4つある爪にはめ込んで固定します。
ティッシュを使ったイヤーパッドの底上げ
イヤーパッドの薄さが装着感の悪さにつながっているので、ティッシュを使ってイヤーパッドの底上げをしてみます。適当に折りたたみ、パッドの内側に押し込みます。
もう一つティッシュを用意して逆サイドにも詰め込みます。これで深さが若干増したので多少装着感が良くなりました。
ハウジングの中身
イヤーパッドを取り外して手前のネジ3つを外すとハウジングを開く事ができます。
左チャンネルのハウジング内部
50mmドライバーユニットの裏側です。ユニットへの配線は右側が赤い線になっています。
ハウジング内部です。音声入力端子とステレオ・モノラル切り替え用の基板が見えます。
ネジを外すと基板が取り外せます。
右チャンネルのハウジング内部
右チャンネルのユニットです。こちらも端子への配線は右側が赤い線です。
右チャンネルのハウジング内部です。特に何もなく空っぽです。
ヘッドバンドのひび割れ
左の画像にはひび、その反対側の同じ部分は欠けてしまっています。
他の場所にもひびが入っています。
解体作業
作業の邪魔になるのでケーブルを外します。
ヘッドパッドを外します。テープで付いているので引っ張って剥がします。外すと隠れていた左右を結ぶケーブルが見えます。
ここの部品は内側のネジ2本を外し、外側部分を横にスライドさせます。
内側の部品を取ると、内部の配線とバンドのストッパーになっている爪が見えます。
爪はマイナスドライバを差し込んで、てこの原理で力を加えると曲げられます。2本の爪を倒すとこの部分を引き抜く事ができますが、中に仕込まれている球がどこかに飛んでいく事があるので、ゆっくり慎重に引き抜きます。外す時に細い金属板が外れる事もあります。
この球は画像の細長い金属板のところに設置されており、バンドの長さ調節時に金属板が球を押し出し、球がバンドのくぼみに引っかかって好みの長さで軽く固定されます。
逆側も同じ手順で分解します。
ヘッドバンドの中心部分が外れました。まだケーブルが中を通っているので周囲のパーツは外せません。
内側のパーツはネジを外し、右側の隙間から何かを差し込み持ち上げます。マイナスドライバなどでもできますが、プラスチックのヘラがあると傷を付けずに外せます。
関節部分はネジ2本を外すとふたのようなパーツが外れます。
関節部分の内部にはケーブルが通っています。先ほどのふたを外していると、簡単に外れます。
イヤーパッドをどかし、ハウジングのネジを3本外して開きます。
ドライバは右側がプラスで左側がGNDです。同じ手順で逆側のハウジングも開きます。
左ハウジングに入っているステレオモノラル変換基板のピンアサインです。
ハンダごてを当ててドライバと変換基板のケーブルを外します。
ハウジングを支えている部分は内側から押し出せば外れます。
各パーツの内部を通っているケーブルを外して解体完了です。
ドライバーユニットの取り出し
ドライバーユニットは接着剤で固定されています。外すにはカッターの刃で根気よく周囲の接着剤を削り取っていきます。
端子付近の黄色い接着剤は中に配線があるので要注意です。危険箇所をよけつつ接着剤に刃を当てていますが、全然先に進みません。
ハウジングを再利用する予定もないので周囲をニッパーで切り取る事にしました。
半分程度周囲を切り取ればドライバが外れます。外したところをよく見てみると、接着剤は奥まで届いていなかったので、多少頑張って接着剤を削っておけば周囲を削り取る事なく分解できそうです。
上で出てきた黄色い接着剤はこんな感じに線が通っています。ドライバの大きさは50mmです。
振動板のへこみ修復
取り外す時に指を当ててしまい振動板がへこんでしまいました。修復するにはへこんだ場所に粘着力の弱い仮止めテープを貼ります。
仮止めテープをゆっくり剥がすとへこみが直りました。
保管用の保護材
ハウジング内側のネジ3本を外すと、外側の化粧パネルが外れます。
化粧パネルにはネジ止めする時に使われていた出っ張りが3つ付いています。それをニッパーでカットします。
化粧パネルをドライバに重ね合わせると振動板の保護になります。
化粧パネルをテープで固定して、ドライバを2つ重ね合わせたりもできます。