SONY MDR-XDシリーズ

00年代中期に販売されていソニー製ヘッドホンの分解などを行います。

目次

XDロングストロークドライバーユニット搭載機種の仕様

型番MDR-XD050MDR-XD100MDR-XD200MDR-RF6000MDR-XD300MDR-XD400
発売2005/102004/102005/102004/11
価格¥10000¥2300¥3400¥30000¥5800¥11800
形式密閉ダイナミック型、ロングストローク振動版搭載
口径40mm50mm
コイルCCAWボイスコイルOFC
帯域12-22kHz10-22kHz8-25kHz5-30kHz
抵抗70Ω70Ω24Ω
感度100dB102dB104dB106dB
入力1500mW1500mW3000mW
長さ3.5m2.5m
質量175g175g220g360g245g260g

これらの機種は最大音圧レベルを高めるという「ロングストローク振動版」を採用しています。ドライバを保護するプロテクタが付いており、それによって口径40mmのものなら約43mmと若干直径が大きくなります。初期のMDR-XBシリーズにも同形状のプロテクタが付いています。

MDR-XD050はMDR-DS1000、MDR-RF6000はMDR-DS6000に付属するヘッドホンです。バーチャルサラウンド機能と無線(DS6000)により価格が高くなっていますが、付属ヘッドホンの仕様はMDR-XDシリーズの下位モデルと同等です。

MDR-XD100の分解とケーブル交換

MDR-XD100 ハウジング

MDR-XDシリーズの下位機種です。

ケーブルが切れている

ケーブルが切れているので後で取り付けます。

ヘッドバンド 重さ

ヘッドバンドはシンプルな作りですがなかなか悪くありません。重さは176gと軽量です。

ハウジングの上下稼働1 ハウジングの上下稼働2

ハウジングは縦方向のみ動かす事ができます。

イヤーパッド

イヤーパッド装着状態 パッドの外し方

イヤーパッドは劣化するとぼろぼろと崩れてくるビニールっぽい物です。パッドはハウジングに引っかけてあるので、パッド内側に指を入れて外側に引っ張るとパッドを外せます。

ハウジングのサイズ イヤーパッド

ハウジングのサイズは86mmです。

分解

ハウジングの中身 XD200と比較

ハウジングのネジ2本を外すと分解できます。MDR-XD200とマグネットの形状が異なります。

ケーブル交換

右側アサイン 左側アサイン

両ドライバとも、画像左側がプラスで右側がGNDです。プラスの目印のような赤い点が紛らわしいので注意です。右のプラスが赤いケーブル、左のプラスが青いケーブルになります。

元のケーブルを外す ケーブルを通す

ハンダごてで元のケーブルを外します。ハンダごての先端にハンダを少量盛っておくと元のハンダが溶けやすくなります。交換用ケーブルをハウジングに通します。今回はEH-25から外したケーブルを流用していますが、ステレオの両出しケーブルなら何でも使えます。

右側ハンダ付け 左側ハンダ付け

ドライバにケーブルをハンダ付けします。

組み立て

結び目を納める 左右の長さを調整

ケーブルの結び目をハウジングの下側に納めてから組み立てます。ネジ止めする前にケーブルの左右の長さが同じくらいになるように調整してください。結び目を軽く緩めれば調整できます。

組み立て完了

組み立てが終わり音が出るようになりました。

MDR-XD200の分解

MDR-XD200

外観

アーム伸縮 ハウジング

大きさはアームを伸縮させて調整します。ハウジングは横方向には動かず、縦回転の反転のみ可能です。

SOUND MODE ハウジング

ハウジングの下にSOUND MODEというスライドスイッチが付いています。画像左方向がMUSICで右がMOVIEですが、どちらに動かしても音の変化は感じられません。

ドライバーユニット

ドライバーユニットは角度が付けられています。

イヤーパッド

ハウジングの大きさ

ハウジングの直径は約95mmです。

MDR-DS6000 SE-M290

サイズの近いMDR-DS6000のイヤーパッドや、SE-M290のパッドが取り付けられます。

ハウジングの分解

ハウジングのネジ ハウジングの中身

イヤーパッドを外して中のネジ3本を外すとハウジングが開きます。

ドライバーユニット

ユニット裏面 ユニットの磁石

ドライバーユニットの裏側です。丸いのは磁石でネジなどが張り付きます。

左ユニットの配線 右ユニットの配線

このヘッドホンは片出しケーブルで、外から入ってきたケーブルがいったん左側に全て入り、そこから右側に回されます。そのため左ユニットの配線はごちゃごちゃしています。緑が左チャンネル、赤が右チャンネル、銅色がグラウンドになります。

SOUND MODE

バネ ギミック

ユニットのそばに用途不明のバネがあります。指で押してみるとそばの部分が持ち上がりました。

閉じ 開き

表から見ても開閉しているのが分かります。SOUND MODEのスイッチを動かすとこの部分が開閉し、ユニットの背面から出てくる音の量を調整するようです。この個体ではスライドスイッチを操作してもふたがほとんど動きません。そのため最初の操作で音が変化しなかったようです。

ケーブルの取り外し

右ケーブルの取り外し 左ケーブルの取り外し

ケーブルにハンダを当てながら引っ張ればケーブルが外せます。なかなかハンダが溶けないので追いハンダをして外しました。

右ケーブルの取り外し 左ケーブルの取り外し

ハウジング内にケーブルストッパー代わりの結び目があるのでほどくとケーブルが取り出せます。

解体

ヘッドバンド

ゴムバンドの爪 ゴムバンドの取り外し

ヘッドバンドに張り付いているゴムバンドは、丸で囲った爪の部分を引っ張ると外せます。

アーム付近

アームのネジ アームの調節部分の取り外し

赤丸で囲った部分のネジ4本を外すと、アームの調節部分が外れます。ここのネジはNo0の先の小さなドライバが必要です。

先の細い物でテコ アーム先端の分解

上画像の黄丸のネジ2本を外し、先の細い物を差し込んで持ち上げるとアーム先端部分が分解できます。

ハウジング付近

ハウジングの固定部分 固定部分の分解

ハウジングを押さえている部分は指で押してもなかなか外れません。外側からマイナスドライバを差し込んで、テコで持ち上げると外せます。

ハウジングの解体 逆側も解体

ハウジングを押さえている部分は片方を外せばもう片方は簡単に外せます。逆側のハウジングも同じように分解しました。

左右を結ぶケーブル

ヘッドバンドを通るケーブルを緩める ヘッドバンドを通るケーブルを外す

ヘッドバンドを通っているケーブルを外しました。

ドライバーユニット

ユニットを固定している部分 固定部分をつぶす

ユニットは3つの部分を接着して固定されています。そのうちの1~2ヶ所をニッパーで挟むとユニットが外せます。

外したユニット ユニットの大きさ

ユニットの大きさは40mmですがプラスチックの部品が付いていて一回り大きくなっているので、ユニットを他のヘッドホンに流用したり、逆に他のヘッドホンのユニットを付けるのは面倒かもしれません。

部品取り

ユニットとケーブルが取り出せました。

MDR-XD300の分解とケーブル・パッド交換

MDR-XD300 アーム付近

XDシリーズ中堅機種のMDR-XD300です。

特徴

サウンドモード

SOUND MODE

MDR-XD200~400に搭載されているサウンドモードです。映画用と音楽用のモードをスイッチで切り替えます。

パラレルリンクフリーアジャスト

負荷無し 負荷有り

ヘッドバンドは「パラレルリンクフリーアジャスト」で長さの調整は不要です。かぶるだけで頭にフィットしてずれたりしません。なかなか良い機構ですが、このMDR-XD300と上位のXD400以外には採用されていないようです。

その他可動部

可動部

ハウジングは縦方向のみ若干稼働します。反転はできません。

イヤーパッド

イヤーパッドの外し方

イヤーパッドはハウジングの縁に引っかけられています。内側に手を入れて外側に引っ張り、引っかかっている部分を外していきます。

パッド表 パッド裏

このパッドは前後の向きがあります。厚さは約15mmです。

ハウジングを開く

ハウジングのネジ ハウジングの中身

パッドを外してネジ4本を外すとハウジングを開けることができます。

左チャンネルの配線

左chの配線 左ドライバ

赤線が右チャンネルのプラス、銅色が左右共通のGND、緑線は左チャンネルのプラスです。片出しなので、右チャンネルの線も一端左側のハウジングに入ってきます。

ドライバ直径は外枠込みで42mmです。大きさは、ソニー製品で同世代40mmドライバと互換性がありそうです。

ケーブル交換

断線したケーブルを交換します。交換に使ったケーブルはEHP-TVOH0150SVから取り外した4芯ケーブルです。これに限らず適当な3芯、もしくは4芯のケーブルを用意すれば交換に使えます。元のケーブルの配線はハンダごてを当てた状態で引っ張れば簡単に外れます。

左チャンネルの配線

ストッパーの固結び 交換ケーブルの配線

交換用ケーブルを通したら、ケーブルストッパー代わりの固結びを忘れずにしておきます。左チャンネル用の青線とGNDの銅色の線をハンダ付けします。

右チャンネルの配線

今回は4芯ケーブルを使っていて、左右のGNDが別々にあります。せっかくなのでそのままRチャンネルの配線につなげてしまいます。3芯のケーブルを使っている場合、元と同じようにLchドライバの基板を利用して配線します。

Rchの空中配線 Rchの絶縁

右チャンネルと右GNDそれぞれの線をクリップで固定して、空中でハンダ付けします。絶縁用の熱収縮チューブを忘れたので、とりあえずテープを付けておきました。

ハンダ付け後、組み立て前に動作確認をします。音量差などもなく、左右とも正常に聞こえたので組み立てを始めます。

サウンドモード

通気口 フタの開閉

サウンドモードのスイッチを動かすと、通気口の裏側にあるフタが開閉します。それにより通気口が開いた状態とふさがれた状態になり、音に変化が出ます。音を出しながら動かしてみても、大して変わった感じはしませんでした。

組み立てとイヤーパッド交換

劣化した元のパッドの代わりにEHP-TVOH0150SVの物を使います。

ストッパーの固定

ケーブルの固結びになった部分をストッパーにするので、ハウジングの下部に収めます。そのあたりの確認が済んだらハウジングを閉めてネジ止めします。

縁の厚い方 縁の薄い方

ハウジングの縁の厚みは場所によって異なります。パッド裏側の引っかける部分を縁の隙間に押し込んでいきます。今回は厚い方から取り付けました。

パッド交換後1 パッド交換後2

他機種のパッドの取り付けが終わりました。少々取り付けにくかったですが、サイズが近かったのでぴったり収まりました。

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